Alexey Anishchuk

  • 中銀預金金利は4%で据え置き-全てのエコノミストの予想通り
  • インフレ率、25年に目標の2%に低下と予想-経済成長予測引き下げ

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は7日、6月利下げの可能性を示唆した。ECBの最新予測はインフレ率が2025年に目標の2%に低下することを見込んでいる。

  ラガルド総裁は、4会合連続で中銀預金金利を4%に据え置いた後の会見で、インフレ鈍化は明らかだが、現時点では金利引き下げに踏み切る「十分な自信」はないと述べた。

  総裁は今後発表される賃金の数字に触れ、「われわれにもっと証拠と詳細が必要なのは明らかだ。そのデータが今後数カ月で出てくることは分かっている。4月にはもう少し多くの、6月にはさらに多くのことが分かるだろう」と語った。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-07/S9ZBICDWX2PS00#:~:text=%E5%8B%95%E7%94%BB-,%EF%BC%9A%E8%A8%98%E8%80%85%E4%BC%9A%E8%A6%8B%E3%81%A7%E8%AA%AC%E6%98%8E%E3%81%99%E3%82%8B%E3%83%A9%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%83%89%EF%BC%A5%EF%BC%A3%EF%BC%A2%E7%B7%8F%E8%A3%81,-Source%3A%20Bloomberg

  ユーロ圏のインフレ率は目標に近づいているが、当局者らは早過ぎる緩和を警戒し、賃金上昇が抑制されているという証拠を求めている。

  ラガルド総裁は「賃金の伸びが緩やかになり始めている兆しがある」と発言、インフレは引き続き鈍化するとの見通しを示した。「加えて、利益が人件費上昇の一部を吸収しているため、インフレへの影響を緩和している」と述べた。

  最新の四半期予測では、今年のインフレ率を2.3%と昨年12月時点の2.7%から下方修正。2025年についても下方修正し、目標の2%に低下すると予想した。26年の見通しは1.9%で据え置いた。

  一方、今年の経済成長率の見通しは0.6%と従来予想の0.8%から引き下げた。

  新たなインフレ見通しは6月に最初の利下げが実施されるという投資家の期待を強めそうだ。市場は現在、年内に1ポイントの利下げを織り込んでいる。0.25ポイントの利下げ4回に相当するが、エコノミストは年内の利下げを3回とみている。

  インフレが持続的に後退していることに自信を深めつつも、勝利宣言には時期尚早で、利下げにゴーサインを出すにはさらなるデータでインフレ動向を確認したいとするラガルド氏の見解に、大半の委員は賛同している。

  ラガルド氏は「今回の会合で利下げは議論しなかった」としつつ、「ECBの景気抑制的な姿勢の縮小について、議論を始めたところだ」と説明した。

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Source: Bloomberg Economics

  2月のインフレ率は2.6%と予想より若干強かったが、ブルームバーグ・エコノミクス(BE)がまとめた「ナウキャスト」では、3月のインフレ率は2%と見込まれている。ECBの想定よりも、目標に近づいていることが示唆される。

  実際はどうであれ、ほとんどの当局者は今後数カ月に予定されている賃金データを吟味してから行動したいと考えている。

  ECBは声明で「政策委員会は景気抑制の適切な水準と期間を決定する上で、データに依存したアプローチを継続する」と表明。「基調的インフレの大半の指標は一段と低下したが、域内の物価上昇圧力は依然強い。賃金の力強い伸びも一因だ」と指摘した。

原題:Lagarde Signals ECB Cut in June With 2% Inflation in Sight (1)ECB Holds Rates as Sagging Inflation Raises Prospect of Cuts (4)(抜粋)