David Randall

アングル:株式市場が米大統領を意識、接戦予想どう織り込む

[ニューヨーク 8日 ロイター] – いつもは企業業績と金融政策に注目する投資家が、今年の相場を揺るがしかねない材料、大統領選挙をどう織り込むべきか意識し始めている。

バイデン大統領は7日の一般教書演説で、法人税の引き上げを提案。かたやトランプ氏は在任中に企業と富裕層への減税を実施した。バイデン氏は就任以来の景気拡大を誇示している。

これらの提案や、今後数カ月間に打ち出される公約がどのように資産価格に影響するかを見極めるのは難しい。選挙後は議会の勢力が僅差となり、法案成立は難しくなると考えられる。

それでも、政治の見通しがこれまで市場を動かしてきた要因とどのように融合するか評価しようとする動きは存在する。これまでの市場の関心は、人工知能(AI)を巡る熱狂や米利下げ開始時期だった。

ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのグローバル市場戦略部門の責任者、ポール・クリストファー氏は「投資家は今、多くのことを検討しており、そこに政治が入り始めているように感じる」と語った。かなりの接戦が予想され、結果の予想は非常に困難だという。

世論調査ではバイデン氏とトランプ氏の支持率が拮抗している。経済問題では総じてトランプ氏の方が評価が高い。

バイデン氏は一般教書演説で富裕層と大企業の課税強化表明した。 もっと見る

しかし、ブルーチップ・デイリー・トレンド・レポートのチーフテクニカルストラテジスト、ラリー・テンタレリ氏は「税制政策は党派の差で決着するため、いずれの陣営も議会を通すのは難しい」と指摘する

ウェルズ・ファーゴのアナリストは、選挙結果にかかわらず、財政政策は次期政権が最初に取り組む項目の一つになるとみている。共和党が政権を奪取した場合、インフレ率の上昇を代償に2017年の減税が延長される可能性が高く、民主党が勝利した場合は富裕層と企業に対する増税が実施される見通しだという。

<選挙年の傾向>

S&P500種指数(.SPX), opens new tabは、大統領が再選を目指した年に平均で15.5%上昇しており、平均リターンの12.8%より高い。

同時に、選挙の年は変動も大きい。BofAグローバルリサーチは今月、過去の選挙年にシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)(.VIX), opens new tabは第2・四半期から11月にかけて平均25%上昇したと指摘した。選挙後は不確実性が取り除かれ、低下する傾向にあるという。

先物は10月限が最近、9月限より2.6ポイントほど高く取引されており、選挙関連の相場変動に対する投資家の警戒心を示唆している。

過去の傾向もバイデン氏に有利かもしれない。LPLファイナンシャルのデータによると、スーパーチューズデーが始まった1976年以降、予備選挙前にS&P500種指数が年初から上昇した場合、80%の確率で現職大統領の政党が選挙に勝利している。

しかし同指数は最近、世論調査におけるトランプ氏の数字とともに上昇している。

LPLファイナンシャルのチーフ株式ストラテジスト、ジェフ・ブッフビンダー氏は「米経済は好調であり、バイデンがその功績を評価されるかどうかが注目される」と語った。