▽【米国市況】株は下落、PCE指数の発表控え高値警戒も-151円前半<bloomberg日本語版>2024年3月26日 5:53 JST
Rita Nazareth
- 29日に米PCE価格指数、パウエルFRB議長の発言機会も
- 円は対ドルで一時0.1%安の151円54銭まで下落、原油4日ぶり反発
25日の米株式市場では主要3指数がそろって下落。米金融当局が重視する個人消費支出(PCE)価格指数の発表を週末に控えて慎重ムードが広がり、これまでの上昇傾向がいったん止まった格好となった。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 5218.19 | -15.99 | -0.31% |
ダウ工業株30種平均 | 39313.64 | -162.26 | -0.41% |
ナスダック総合指数 | 16384.47 | -44.35 | -0.27% |
S&P500種株価指数は先週、週間ベースで今年に入って最大の上昇率となったが、市場では警戒感も高まっている。祝日に当たる29日に発表される2月のPCE価格指数は、インフレの高止まりを示すとみられている。同日にはパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長も公の場で発言する。
株式相場のここまでの上昇は行き過ぎで急激過ぎるのではないかとの見方が広がっている。
RBCキャピタル・マーケッツの米株式戦略責任者、ロリ・カルバシナ氏は「センチメントはいっぱいいっぱいの状態で、米株式相場はいつ下落してもおかしくないと、われわれは引き続き考えている」と述べた。
S&P500種は先週、200日移動平均線を14%上回る水準で引けており、米株式相場の過熱ぶりを示す。
モルガン・スタンレーとJPモルガン・チェースは、S&P500種が最高値を更新する一方で、利益見通しが弱まっていることに懸念を強めている。ここ5カ月の株高はファンダメンタルズの改善というよりも、金融環境の緩和とバリュエーションの上昇がもたらしたものだと、モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏は指摘している。
米株高にブレーキも、企業利益見通しとの乖離を懸念-ウィルソン氏
個別銘柄ではインテルが反落。中国が政府のコンピューターでの米国製マイクロプロセッサーとサーバーの使用を制限する新指針を採用したとの英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)報道が響いた。ボーイングは上昇。デービッド・カルフーン社長兼最高経営責任者(CEO)のほか民間航空機部門の責任者、会長を全員交代させる。
ベルウェザー・ウェルスの最高投資責任者(CIO)、クラーク・ベリン氏は「株式市場は数週間後に次の試練に直面する。4月中旬に決算発表シーズンが始まるためだ」と指摘。「株価と株式のバリュエーションは次の決算発表シーズンを迎える中で高い水準にある。これは企業が力強い業績を示せず失望を招いた場合に、それを受け止める余地がほとんどないことを意味する」と述べた。
その上で、「今年これまでに既に数回の小幅な下げがあった。それらは大きな落ち込みではなく、すぐに回復し、後から振り返れば買いの好機だった」と付け加えた。
米国債
米国債相場は下落。利回りはこの日の最高水準付近で取引を終えた。10年債利回りは一時6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.26%を付けた。
この日実施された2年債入札は全般的には堅調だったが、週内には5年債と7年債の入札も控える。祝日を含み、通常より営業日が少ない週だが、社債発行も多く、供給圧力は強まっている。
国債 | 直近値 | 前営業日比(BP) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.42% | 4.0 | 0.92% |
米10年債利回り | 4.25% | 4.9 | 1.17% |
米2年債利回り | 4.63% | 3.8 | 0.84% |
米東部時間 | 16時52分 |
外為
ニューヨーク外国為替市場では、ドルを含む避難先通貨が他の主要10通貨に対して下落。相場全般にボラティリティーが低く、リスク動向に敏感な通貨が上昇した。原油価格の上昇を受け、特にノルウェー・クローネが買いを集めた。
円は対ドルで一時0.1%安の151円54銭まで下げる場面もあったが、日中はおおむね151円台前半で推移した。当局による介入リスクや、円安が進んで節目の152円を超える可能性が意識され、急激な変動をヘッジするためのオプション価格は高止まりしている。
足元の円安は「明らかに投機」、過度な変動容認せず-神田財務官 (1)
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1243.66 | -2.84 | -0.23% |
ドル/円 | ¥151.43 | ¥0.02 | 0.01% |
ユーロ/ドル | $1.0837 | $0.0029 | 0.27% |
米東部時間 | 16時52分 |
マラヤン・バンキング(メイバンク)のストラテジスト、アラン・ラウ氏は「神田真人財務官と鈴木俊一財務相の2人による為替相場に関する発言が、市場を引き続き警戒させている」と指摘。当局は「1ドル=155円に達するまで直接的な介入を控える」可能性があるとの見方を示した。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の山田修輔、メガン・スワイバー両ストラテジストは、ドルが対円で1ドル=152-155円ゾーンに上昇する、または1カ月物のインプライド・ボラティリティー(IV、予想変動率)が足元の8前後から10を超えて上昇する場合に、日本当局による為替介入のリスクは高まると指摘した。
日本の介入リスク、1ドル=152-155円ゾーンで高まる-BofA
この日発表された米経済指標では、シカゴ連銀が発表した2月の全米活動指数が予想外にプラス圏に上昇。一方、2月の新築住宅販売件数は市場予想を下回った。
原油
ニューヨーク原油先物相場は4営業日ぶりに反発。地政学的な混乱のほか、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が来週の会合で現行の産油抑制措置を維持するとの見方が背景にある。
ロシアのモスクワ郊外で22日夜に発生したテロ攻撃では、死者が130人余りに達した。またウクライナがロシア国内の主要製油施設をドローンで攻撃したことが影響し、ロシアの原油処理量は減少している。
モスクワのテロ死者137人に-プーチン氏はウクライナの関与示唆 (1)
ロシア原油処理量、10カ月ぶり低水準-ウクライナのドローン攻撃影響
OPECプラスの参加国代表らは、来週の会合で原油供給政策の変更を勧告する必要はないとみている。今年上期向けに既に設定された生産割り当てが効果をもたらしつつあるためだ。主要メンバーらは4月3日にオンライン会合を開き、減産措置の実施状況と世界市場へのその影響を検証する。
OPECプラス代表、来週の会合で政策変更を提案する必要はない
原油相場はまた、テクニカル指標によっても支えられている。50日移動平均線が100日移動平均線を下から上に突き抜ける「ゴールデンクロス」と呼ばれるチャートパターンが形成されている。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物5月限は、前週末比1.32ドル(1.6%)高の1バレル=81.95ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント5月限は1.32ドル上昇の86.75ドル。
金
金スポット相場は3営業日ぶりに反発。今週は欧米などで複数のインフレ指標の発表が予定されており、利下げ開始時期がより明確になる可能性がある。
米金融当局が基調的なインフレの指標として重視する個人消費支出(PCE)コア価格指数は29日に発表される。このほかフランス、イタリア、スペイン、オーストラリアでも週内に消費者物価指数(CPI)の発表がある。
ゴールドマン・サックス・グループは、欧米の中央銀行が利下げに動く中で、工業需要と消費者需要が支えられ、商品相場は今年上昇すると24日のリポートで予測。金については1オンス=2300ドルへの上昇もあり得ると記した。
ゴールドマン、プラス15%の商品リターンを今年予測-利下げで好影響
ニューヨーク時間午後2時40分現在、金スポット価格は前週末比8.06ドル(0.4%)高の1オンス=2173.50ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は16.60ドル(0.8%)上げて2198.20ドルで引けた。
原題:‘Priced for Perfection’ Stocks See Rally Stall: Markets Wrap(抜粋)
Treasuries Trade Lower, Holding Losses as Supply Pressure Weighs
Haven Currencies Ease as Markets Calm, Krone Gains: Inside G-10
Dollar Declines, Yen Gains After Currency Warning: Inside G-10
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