Anchalee Worrachate、Carter Johnson

  • 共和党政権では値下がりし、トランプ政権最初の年は10%下落した
  • 注意すべき要因は通商戦略であり、歴史的にドルに最も大きく影響

トランプ前米大統領がホワイトハウスに復帰すれば、ドル相場上昇の引き金になると予想するウォール街の見方は、歴史に逆行するかもしれない。約40年間のデータを分析した研究論文によれば、共和党政権の年にドルは平均1.3%下げた。

  英インペリアル・カレッジ・ビジネススクールとカナダ・ケベック州のラバル大学の研究者らは、為替リターンと米大統領のサイクルとの間に統計的に有意な関係があるとの見解に達した。

  査読前論文によると、民主党政権の年にドルが平均4.2%上昇したのに対し、共和党政権の下では値下がりし、トランプ政権最初の年の下落率(貿易加重ベース)は10%だった。

  バークレイズやJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、シティグループといった金融機関の間では、トランプ氏が提案する関税と減税の組み合わせがインフレと利上げの可能性を助長し、その一方でドルを押し上げるという予測が勢いを増している。しかし、それは今回の研究結果と相反する。

  注意すべき重要な要因は通商戦略であり、歴史的にドル相場に最も大きな影響を及ぼしてきた経緯が研究成果からうかがえる。

  インペリアル・カレッジ・ビジネススクールのパスクワーレ・デラ・コルテ氏は「われわれは米大統領と通商政策がドルにとってかなり重要と認定した。これらのリターンと、各国・地域間の金利差や異なるインフレ環境との関係は逆に確認できなかった」とインタビューで語った。

原題:Trader Bets on a Trump Dollar Rally Undercut by Historical Study(抜粋)