By ロイター編集
[ワシントン 15日 ロイター] – 米商務省が15日発表した3月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.7%増となった。オンライン売上高の急増を背景に市場予想(0.3%増)を上回り、第1・四半期を堅調な伸びで締めくくった。
2月分は従来発表の0.6%増から0.9%増に上方改定された。
これを受け、米連邦準備理事会(FRB)が利下げ開始時期を9月まで先送りするとの観測が高まった。
また、モルガン・スタンレーは予想を上回る小売売上高を受け、第1・四半期の国内総生産(GDP)成長率予想(年率)を2.4%から2.7%に引き上げた。2023年第4・四半期のGDP成長率は3.4%だった。
キャピタル・エコノミクスの米国担当副チーフエコノミスト、アンドリュー・ハンター氏は「消費が引き続き底堅いことはFRBが利下げ開始をもう少し待つとみられるもう一つの理由だ。利下げは9月まで行われないだろう」と述べた。
ネーションワイドのチーフエコノミスト、キャシー・ボストジャンシック氏は「経済活動が引き続き活発であればあるほど、インフレ率の低下は遅くなり、FRBが利下げに動く時期も後ずれする」とし、「消費支出とインフレ率の抑制が不十分なら、利下げは来年に先送りされる可能性がある」と指摘。オックスフォード・エコノミクスの米国担当副チーフ席エコノミスト、マイケル・ピアース氏も「6月の利下げはあり得ないわけではない」としながらも、後ずれする可能性があるとの見方を示した。
3月の前年同月比は4.0%増だった。
3月の前月比の内訳では、オンライン売上高が2.7%増。2月は0.2%増だった。
ガソリンスタンドの売上高は2.1%増。ガソリン価格の上昇を反映した。米エネルギー情報局(EIA)によると、3月のガソリン価格は約8.1%上昇し1ガロン当たり3.639ドルとなった。
建築資材および園芸用品の売上高は0.7%増。サービス部門として小売統計に唯一含まれる飲食店は2月の0.5%増に続き0.4%増となった。
一方、自動車・部品は0.7%減。家具も0.3%減少した。スポーツ用品・趣味・書籍・楽器は1.8%減だった。
これらは家計が引き続き必需品の購入を重視し、裁量的支出を削減していることを示唆している。電子機器・家電は1.2%、服飾は1.6%それぞれ減少した。
3月の自動車、ガソリン、建築資材、外食を除くコア小売売上高は1.1%増。2月分は前回の横ばいから0.3%増に改定された。コア小売売上高は、国内総生産(GDP)統計の個人消費の動向を反映する傾向がある。
ネイビー・フェデラル・クレジット・ユニオンのコーポレートエコノミスト、ロバート・フリック氏は、消費押し上げにつながっていたさまざまな景気刺激策が終了し、足元の消費支出は給与所得に大きく依存しているものの、「給与所得は労働市場とともに拡大し続けている」と指摘。「これは堅調な景気拡大が続くことを意味している」とした。