Craig Torres

  • インフレ目標に向けたさらなる進展が見られていない-声明
  • 米国債のランオフペースを6月から月間最大250億ドルに減速
Jerome Powell
Jerome Powell Photographer: Al Drago/Bloomberg

米連邦公開市場委員会(FOMC)はインフレについて再び懸念していることを示唆し、利下げを開始するには物価上昇ペースが鈍化していることを示すさらなる証拠が必要だと改めて指摘した。

  FOMCは4月30日-5月1日に開催した定例会合で、主要政策金利を据え置くことを決定。決定は全会一致だった。金利据え置きは6会合連続となる。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.25-5.5%。

FOMC声明:保有証券の縮小ペース、6月から減速-国債償還を減額

  米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は会合後の記者会見で、「今年はこれまでのところ、特に確信を深められるようなデータは得られていない」と発言。「インフレに関する指標は予想を上回っている。確信を強めるまで、従来の想定よりも時間がかかりそうだ」と述べた。

  議長はまた、FOMCの次の動きが利上げとなる可能性は低いとも指摘。利上げに踏み切るには、インフレ率を目標の2%に下げるのに政策引き締めは不十分だという説得力ある証拠が必要だと述べた上で、「その結論を裏付ける証拠はない」と付け加えた。

  ただパウエル氏は、年内に利下げが実施される可能性が高いとのシグナルは発しなかった。またこれまでとは異なり、金利がピークにあると示唆することもなかった。

  会合後に発表した声明でFOMCは、「ここ数カ月、委員会が目指す2%のインフレ目標に向けた一段の進展は見られていない」と記述。この文言は、昨年12月に加えられた「インフレはこの1年で緩和したが、依然として高い水準にある」という文言の後に追加された。

  このほか、FOMCが雇用とインフレの目標を達成する上でのリスクについて、「過去1年間で、より良いバランスへと移行してきた」とし、従来の「より良いバランスへと移行しつつある」から文言を変更した。

  FOMCはまた、当局の資産ポートフォリオの縮小ペースを減速させる計画の概要を提示。米国債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)のペースは現在、月間最大600億ドル相当だが、この上限を6月から250億ドルに減らす。前回、一連のバランスシート縮小を開始した2019年は金融市場が混乱。こうしたリスクを低減させることが狙い。

  住宅ローン担保証券(MBS)のランオフペースについては、現行の月間最大350億ドル相当を維持。ただ当局は6月から、償還元本のうち上限を超えた分について、MBSではなく米国債に再投資する。

原題:Fed Flags Lack of Inflation Progress But Signals Hikes Unlikely(抜粋)