William Horobin、Samy Adghirni、Li Liu

  • 欧州訪問中の習氏、パリで仏大統領と欧州委員長と3者会談
  • EU、対中国であらゆる貿易保護措置を講じる用意-欧州委員長
中国の習近平国家主席(左)とマクロン仏大統領
中国の習近平国家主席(左)とマクロン仏大統領 Photographer: Nathan Laine/Bloomberg

中国の習近平国家主席は欧州3カ国歴訪の最初の訪問国であるフランスでマクロン大統領に対し、「新冷戦」を阻止する取り組みへの協力を求めた。欧州連合(EU)は安全保障上のリスクや貿易摩擦を巡る懸念で米国に同調する姿勢を強めている。

  中国国営の新華社通信によると、習主席は6日、中仏両国は互いの利益を維持するとともに、デカップリングやサプライチェーンの混乱に共同で反対すべきだとマクロン大統領に呼び掛けた。

  セルビアとハンガリー訪問に先立ち、国賓としてパリを訪れた習主席は中国が欧州に経済的機会を提供していると強調したい意向だ。EUと中国は、ロシアのウクライナ侵攻や国際貿易を含むさまざまな問題で対立している。過剰な補助金を巡る一連の調査に加え、中国によるスパイ行為の摘発などが、EUの中国に対する不信感の強まりを示している。

  マクロン氏はウクライナの安全なくして欧州の安全はあり得ないとの見解をあらためて示し、「われわれは今、歴史的な転換点にいる。脅威はかつてなく高まっており、世界が分断するリスクはかなり大きい」と、習氏と臨んだパリでのビジネス会議で述べた。

  一方、習氏は、ロシアとウクライナの紛争は双方が関与する交渉を通じてのみ解決できると述べ、中国批判に利用しないよう警告。「われわれは、第三国に責任を負わせ、そのイメージを傷つけ、新たな冷戦をあおるためにこの危機が利用されることに反対する」と話した。

  両首脳はまた、7月下旬に開幕するパリ五輪の期間中の世界的な停戦を呼び掛けた。

欧州委員長

  欧州委員会のフォンデアライエン委員長は習、マクロン両氏との3者会談後に、中国が自国市場への公正なアクセスを提供しない場合、EUは域内経済を守るために利用可能なあらゆる手段を講じる用意があると述べた。

  フォンデアライエン氏は、電気自動車(EV)や鉄鋼など多額の補助金を受けた中国製品が欧州にあふれており、世界は中国の過剰生産を吸収できないとし、「貿易が公正であるためには、互いの市場へのアクセスも相互的である必要がある」と指摘。

  「私たちは市場アクセスについて、どのように真の進歩を遂げるかについて議論した。さらなる進展が達成できるとなお確信している。同時に、必要に応じて貿易保護措置をフル活用する用意がある」と語った。

  中国側は自国の過剰生産を否定し、EUの保護主義を非難。新華社通信によると、習氏はマクロン、フォンデアライエン両氏との会談でもこの立場を繰り返し、比較優位の観点からも世界需要の観点からも過剰生産能力の問題はないと語ったという。

原題:Xi Urges Macron to Help China to Avoid a ‘New Cold War’ (2)EU Says Ready to Use All Trade Tools to Defend Against China (2)(抜粋)