スロバキアのフィツォ首相、銃撃で腹部負傷 政府は暗殺未遂と確認

[1/2]中欧スロバキアのフィツォ首相が15日、銃撃され、腹部を負傷した。撮影(2024年 ロイター/Radovan Stoklasa)

[ハンドロバ(スロバキア) 15日 ロイター] – 中欧スロバキアのフィツォ首相(59)が15日、首都ブラチスラバの北東190キロメートルにあるハンドロバで銃撃され、生命が脅かされる重傷を負った。政治的な暴力事件が稀なスロバキアで首相暗殺未遂事件が発生したことに衝撃が広がっている。

地元メディアは銃撃犯は71歳の男性と報じているが、現時点で動機は明らかになっていない。

フィツォ首相はハンドロバで開かれていた政府会合に出席していた。中部の中心的都市バンスカー・ビストリツァにヘリコプターで搬送され緊急治療を受けている。容態が深刻でブラチスラバまで搬送できないという。

事件が発生したのは現地時間午後2時半(日本時間午後9時半)過ぎ。地元メディアは、銃弾4発が発射され、そのうち1発がフィツォ首相の腹部に命中したと報じている。

事件の目撃者はロイターに対し、フィツォ首相が建物から出て、群衆と握手しようとした際に3、4発の銃声が聞こえたと述べた。

地元メディアは、銃撃犯はショッピングモールの元警備員だと報道。詩集を3冊出版したスロバキア作家協会の会員でもあると報じている。

スロバキアは欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)加盟国。事件を受け欧州委員会のフォンデアライエン委員長は「このような暴力行為はわれわれの社会に存在するべきではなく、われわれの最も貴重な共通の利益である民主主義を損なうものだ」と非難した。

バイデン米大統領は声明で「この恐ろしい暴力行為を非難する」とし、スロバキアへの支援を申し出た。

ロシアのプーチン大統領は「フィツォ首相は勇敢で強い意志を持った人物だ」とした上で、銃撃事件を「恐ろしい」犯罪と非難した。

フィツォ氏は昨年、4期目の首相就任を果たした。30年にわたるキャリアの中で、親欧州派の主流派とEUや米国の政策に反対する国家主義的な立場の間を行き来してきた。近年はハンガリーのオルバン首相に同調し、ロシアの侵攻を受けているウクライナに対する西側諸国の支援への批判を強め、ウクライナの将来的な北大西洋条約機構(NATO)加盟に反対を表明していた。