[ワシントン 16日 ロイター] – 調査会社ウッドマッケンジーが16日発表した分析によると、11月の米大統領選でトランプ前大統領が勝利した場合、2050年までの低炭素エネルギーへの投資が1兆ドル減り、二酸化炭素排出量が10億トン増える可能性がある。
同社のエネルギー移行調査ディレクター、デービッド・ブラウン氏は「今回の選挙サイクルは、今後5年間と2050年までのエネルギー投資のペースに大きな影響を与える」と指摘。
「長期的な脱炭素化目標を達成するには、低炭素供給への投資を短期的に行う必要がある。米国の炭素排出量は増加する可能性があり、移行が遅れるシナリオではネットゼロの達成は不可能になる」と述べた。
トランプ氏は当選すれば、電気自動車(EV)に対する税額控除や自動車・発電所に対する厳しい排出規制など、バイデン政権の気候政策の多くを撤回すると表明している。パリ協定からの離脱も予想される。
同社は、インフラ法やインフレ抑制法など、現在の政策の下で23─50年に米国のエネルギー部門に約7兆7000億ドルの投資が行われると予想しているが、共和党が低炭素エネルギーとインフラ整備を強化する重要政策を撤回した場合、投資は1兆ドル減る見通し。
現在の政策が撤回されれば、50年のエネルギー関連の二酸化炭素排出量は10億トン増える見通しという。
また、自動車メーカーがEVよりもハイブリッド車への投資を増やす可能性が高く、50年までのEVの総ストックは現在の政策下で予想される水準を50%下回る見通し。
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