Rita Nazareth
- ウォール街とハイテク業界が注目するエヌビディア決算発表は22日
- 米国債利回り上昇-ドル買いの流れに押されて円相場は下落
20日の米株式市場でS&P500種株価指数は小幅ながら続伸。今週の市場では「マグニフィセント・セブン」の一角である半導体大手エヌビディアの決算発表に注目が集まる。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 5308.13 | 4.86 | 0.09% |
ダウ工業株30種平均 | 39806.77 | -196.82 | -0.49% |
ナスダック総合指数 | 16794.88 | 108.91 | 0.65% |
22日発表予定のエヌビディアの決算は、ウォール街とハイテク業界の両方にとって注目のイベントとなる。これまで強気相場を引っ張ってきた人工知能(AI)を巡る熱狂の中心にいるのが同社だ。投資家は、ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)による業績ガイダンスとともに、同社製チップへの旺盛な需要を再確認できるような証拠を待ち望んでいる。
フリーダム・キャピタル・マーケッツのジェイ・ウッズ氏は「相場が今週勢いを保つための条件はエヌビディア1銘柄だけに絞られるだろう」と指摘。「厳密に言えばそれは事実ではないが、この決算イベントの騒ぎが週を通じてトレーディングデスクや金融メディアの話題になるのは間違いなさそうだ」と語った。
モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのクリス・ラーキン氏は、株式市場には引き続き、強気派がこの勢いを維持できるかどうかという課題があると指摘。「先週の経済指標が『ゴルディロックス』ゾーンにしっかりと収まった傾向をトレーダーは好感しているようだ」とした上で、「今週の経済カレンダーは比較的軽めであり、企業決算が市場の動向をけん引することになる。その筆頭にあるのがエヌビディアだ」と述べた。
AIチップ大手のエヌビディアは単独でS&P500種株価指数の上昇分の約4分の1を占める。同社にマイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、アルファベットを合わせた5銘柄では、同指数上昇の約半分を占めている。
ストラテガスのジェーソン・トレナート氏は「90年代後半のシスコ以来、一つの銘柄が市場全体の見通しにこれほど大きな影響を持つことは記憶にない」と指摘。「昨年5月のエヌビディアの決算発表はAIの将来について最も懐疑的な投資家さえも注目させた」と述べた。
米国債相場は下落。10年債利回りは約2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇した。この日に発言機会のあった米金融当局者からは、政策金利については基本的に様子見の姿勢が繰り返された。
国債 | 直近値 | 前営業日比(BP) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.58% | 2.5 | 0.55% |
米10年債利回り | 4.45% | 2.5 | 0.58% |
米2年債利回り | 4.85% | 2.6 | 0.53% |
米東部時間 | 16時40分 |
メモリアルデー(戦没者追悼記念日)を含む週末を控えて今週は起債案件の前倒しが見込まれており、投資適格級社債の発行が相次ぐ。
クレジットサイツの米投資適格債・マクロ戦略責任者、ザッカリー・グリフィス氏は「今朝は企業の起債がやや活発化しているように見え、それがテクニカルな観点から市場全体の重しになっている可能性がある」と指摘。「経済カレンダーは軽い一方で米金融当局者発言が目白押しとなる中、先物市場で売りが優勢になった」と述べた。
ニューヨーク外国為替市場で円相場は下落。総じて1ドル=156円台前半で推移した。米国債利回りの上昇を受けたドル買いの流れに押された。
この日は米金融当局者の発言が相次いだ。ジェファーソン連邦準備制度理事会(FRB)副議長は、4月のインフレ指標は勇気づけられる内容だったが、ディスインフレが続くかどうかを判断するには時期尚早だと述べた。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1246.48 | 1.45 | 0.12% |
ドル/円 | ¥156.30 | ¥0.65 | 0.42% |
ユーロ/ドル | $1.0858 | -$0.0011 | -0.10% |
米東部時間 | 16時41分 |
アトランタ連銀のボスティック総裁は、インフレが今後も低下し続けると考えているとし、当局の金融政策スタンスは景気抑制的だと語った。クリーブランド連銀のメスター総裁は、政策は景気抑制的だが、当局者は金利を調整する前にインフレの動向についてより多くの証拠を待つ必要があると述べた。
ニューヨーク原油先物相場は小幅に反落。中東で大きなイベントが複数発生したにもかかわらず、ボラティリティーが低下し、比較的低調な取引となった。
原油価格はレンジ内の動きにとどまった。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成される「OPECプラス」の会合を6月1日に控え、方向感が見えにくかった。主要なボラティリティー指標は約5年ぶりの低水準となった。
原油市場関係者は中東情勢を引き続き注視している。週末にはイランのライシ大統領とアブドラヒアン外相がヘリコプター事故で死亡したほか、サウジアラビアではサルマン国王(88)の健康状態が懸念されている。
イランのライシ大統領が死亡、ヘリ墜落事故-後継者に注目集まる (1)
しかしアナリストらは、石油の政策や輸出に影響が及ぶ公算は小さいとして、これらイベントが原油先物市場に与える影響はそれほど大きくないとの見方を示している。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物6月限は、前週末比26セント(0.3%)安の1バレル=79.80ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント7月限は27セント安の83.71ドルで引けた。
ニューヨーク金相場は続伸。米利下げへの楽観的な見方や中東リスクの高まりを背景に、金スポット価格はアジア時間に史上最高値を更新したが、利益確定売りのため上昇幅が縮小した。
金スポットはアジア時間には1.4%高の1オンス=2450.07ドルと、4月に付けた日中ベースの最高値を上回っていた。
シティー・インデックスの市場アナリスト、ファワド・ラザクザダ氏は、金相場は利益確定売りで高値を離れたが、見通しは依然として良好で、最高値が再び更新される可能性があると述べた。
同氏は理由として、最近の経済指標が米景気減速を示唆しており、それがインフレ鈍化につながり得ることや、金融引き締め策を長期間続ける必要性を低下させ得ることなどを挙げた。ドルが下落傾向にあることも金相場を支えている。
パレスチナ自治区ガザでの戦闘で中東情勢が混乱している中、イランのライシ大統領とアブドラヒアン外相がヘリコプター事故で亡くなったことも、地政学的リスクを高めた。
金スポット価格はニューヨーク時間午後3時33分現在、前週末比0.6%高の1オンス=2430.04ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は21.10ドル(0.9%)高の2438.50ドルで終了した。
原題:
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