▽エジプト兵死亡、イスラエルとラファ検問所で交戦-緊張高まる<bloomberg日本語版>2024年5月28日 0:04 JST

Alisa Odenheimer、Sherif Tarek Abouzid

  • イスラエル国防軍、銃撃事件発生を認めエジプト側と交渉中と説明
  • 26日のラファの避難民密集地への空爆を米欧が非難
Construction Works Inside Egypt's New Administrative Capital
Photographer: Islam Safwat/Bloomberg

イスラエルとエジプトの部隊が27日、パレスチナ自治区ガザとエジプトの境界にあるラファ検問所で衝突し、エジプトの兵士1人が死亡した。

  これに先立つ26日深夜には、ラファの避難民が密集する地域へのイスラエルの空爆により少なくともパレスチナ人40人が死亡しており、イスラエルとイスラム組織ハマスの紛争を巡り中東情勢が一段と緊迫する可能性が高まっていた。

イスラエル軍がラファの避難民密集地を空爆、35人以上死亡-ガザ当局

  エジプト軍は27日、ラファ検問所で警備に当たっていた兵士1人の死亡を確認した。エジプトとイスラエルの緊張がエスカレートする恐れがある。

  イスラエルによるラファ北西部の避難民密集地への空爆は国際社会の非難を招いた。イスラエルはこの空爆で数十人が死亡したことを認め、ネタニヤフ首相は国会での演説で「悲劇的な過ち」と述べた。イスラエルの指導者らは空爆とラファ検問所での衝突について調査中だとした。

  イスラエル国防軍は「エジプト国境で銃撃事件が発生した」と認め、エジプト側と協議中だとしたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。

  米国などは、イスラエルによるラファ攻撃がエジプトとの関係悪化につながることに懸念を示している。両国が1979年に締結した平和条約はイスラエルの安全保障に不可欠と考えられている。

  イスラエルは、26日遅くにラファの避難民密集地に行った空爆は「正確な情報」に基づくもので、ハマスの高官2人を殺害したと説明。しかし各国政府はこの空爆を非難し、フランスのマクロン大統領は「憤慨している」とX(旧ツイッター)に投稿。欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会のボレル副委員長(外交安全保障上級代表)は「ぞっとする」と述べた。

  ホワイトハウスは声明で、この空爆で殺害された罪なき民間人の映像は 「実に痛ましい 」とした。

  米国家安全保障会議(NSC)は声明で「イスラエルにはハマスの後を追う権利があり、今回の空爆でイスラエルの民間人への攻撃の責任を負うハマス幹部のテロリスト2人が死亡したことをわれわれは理解している。しかし、われわれが明らかにしてきたように、イスラエルは民間人を守るためにあらゆる予防措置を講じなければならない」とイスラエルに民間人保護を求めた。

原題:Israel Airstrike and Death of Egyptian Guard Ratchet Up Tensions(抜粋)

▽ラファ避難民密集地区攻撃、死者45人 イスラエルは調査へ<ロイター日本語版>2024年5月28日午前 2:21 GMT+9

By Nidal Al-Mughrabi、 Dan Williams

[カイロ/エルサレム/ワシントン 27日 ロイター] – イスラエル軍が26日夜に実施したパレスチナ自治区ガザ最南部ラファの北西部への空爆により、避難民が密集している地区で火災が発生し、子供や女性、高齢者を含む少なくとも45人が死亡した。国際司法裁判所(ICJ)がラファ攻撃の即時停止を命じた後も攻撃を続けるイスラエルに対し、国際的な非難が高まっている。 もっと見る

イスラエルは空軍がラファにあるイスラム組織ハマスの拠点を攻撃したと表明。避難民らによると、数千人の避難民が密集しているラファ中心部に近いテル・アル・スルタン地区が攻撃を受けた。ロイターが入手したビデオ映像には、暗闇の中で燃え盛る火災の中でパニックに陥って悲鳴を上げる人々の姿が映っている。 もっと見る

イスラム組織ハマスの保健当局によると、死者の半数以上が女性、子供、高齢者だった。重度の火傷を負った人がいるため、死者数は増える恐れがあるとしている。

<ネタニヤフ首相、調査実施を表明>

イスラエルのネタニヤフ首相は27日、ラファへの空爆に民間人の犠牲者を出す意図はなかったとし、調査を行うと表明。議会での演説で「非戦闘員に危害を加えないよう最大限の努力を払ったにもかかわらず、残念ながら悲劇的な事態が発生した」とし、「調査を実施し、結論を出す」と述べた。

米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)報道官は「イスラエルにはハマスを追及する権利がある」としながらも、イスラエルは民間人を守るためにあらゆる予防措置を講じなければならないとし、調査実施を求めた。

<国際社会の非難相次ぐ>

欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は、ICJの命令は尊重されなければならないと指摘。フランスのマクロン大統領もイスラエルはラファに対する作戦を中止しなければならないとしたほか、ドイツのベーアボック外相は「国際人道法は全ての者に適用される。イスラエルの戦争遂行にも適用される」と述べた。

アラブ諸国からも非難が相次いでおり、エジプトが国際法の明白な違反としたほか、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)も非難。カタールはラファへの攻撃で休戦と人質交換の実現に向けた取り組みが妨げられる恐れがあると警告した。

関連情報

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