宮井伸明

  • アップルがAIの新機能発表、CPIとFOMCに警戒
  • インド新政権、フランス極右が共闘、米消費者は株楽観

アップルの世界開発者会議(WWDC)が開幕。人工知能(AI)分野での動きを巡り今年は例年以上に注目度が高く、レインメーカーの共同創業者グレッグ・マーティン氏は「刺激的な内容でなければ株価は当面低迷する」が、ポジティブに受け止められれば買いの起爆剤になると語っていました。この日のアップル株は結局、1.9%安で取引を終了。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

想定の範囲内

アップルは新しいAI機能「アップル・インテリジェンス」を発表。自社のツールにオープンAIのチャットボット「ChatGPT」を統合することも明らかにした。オープンAIとの提携により、アップル製品のユーザーは追加料金なしで「Siri」からChatGPTにアクセスできるようになる。オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)はアップルとの提携は「非常にうれしい」とX(旧ツイッター)に投稿した。両社の提携などはブルームバーグがWWDCに先立ち報じていた。

警戒モード

JPモルガン・チェースからシティグループに至るまでウォール街の有力トレーディングデスクは、12日発表の米消費者物価指数(CPI)および米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策判断を控え、週内の株価変動に備えるよう投資家に促している。JPモルガンはリポートで「CPIとFOMC金融政策判断が同じ日に発表されるため、CPIの結果がパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見内容で覆される可能性がある」と述べた。

継続性重視

インドのモディ首相が率いる新連立政権は、ニルマラ・シタラマン前財務相の再任を決めた。政策の継続性を確保することが狙いとみられる。大統領府が発表した声明によれば、シタラマン氏は企業相も兼任する。同氏は新政権の財政運営でバランスを取る必要に迫られる。新政権は支持てこ入れ策として歳出増を求められ、そうなれば保守的な財政方針を転換する可能性があるとエコノミストらはみている。

極右で共闘

フランスのマリーヌ・ルペン氏が率いる極右政党・国民連合(RN)と、同氏のめいで元下院議員のマリオン・マレシャル氏が、近く予定される総選挙でマクロン大統領に対抗するため協力する可能性を協議している。反目が続いてきた2人の政治的な関係修復が示唆される。欧州債市場ではフランス国債が大幅安となり、ドイツ債とのスプレッドは6カ月ぶりの高水準となった。

消費者は楽観

米家計は株式市場の見通しに過去3年間で最も楽観的であることが、ニューヨーク連銀の5月調査で明らかになった。楽観は大半の年齢層、学歴、地域にわたって広範に上向いた。こうした上昇は、消費者マインドを幅広く支えている可能性がある。今回の調査では、自身の財務状況が1年後に同じか良くなっていると予想する回答比率は78.1%と、21年6月以来の高水準となった。

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