Mark Gurman

  • AI機能は「アップル・インテリジェンス」、OS新バージョン発表
  • 株価下落、特に予想外の発表はなかったとアナリスト

アップルは10日、待望の新しい人工知能(AI)機能を世界開発者会議(WWDC)で発表。自社のツールにオープンAIのチャットボット「ChatGPT」を統合することも明らかにした。

  このプラットフォームは「アップル・インテリジェンス」と呼ばれ、文書の要約やオリジナルの画像作成、必要な時に最も関連性の高いデータを探し出すのに役立つと、シニア・バイス・プレジデントのクレイグ・フェデリギ氏が基調講演で語った。同社はiPhone、iPad、Macそれぞれの基本ソフト(OS)の新バージョンも発表した。

  フェデリギ氏は「これは私たちが長い間目指してきた瞬間だ」と述べた。

Apple Hosts Worldwide Developers Conference
アップルのクレイグ・フェデリギ氏Photographer: David Paul Morris/Bloomberg

  オープンAIとの提携により、アップル製品のユーザーは追加料金なしでデジタルアシスタント「Siri」からChatGPTにアクセスできるようになる。フェデリギ氏によると、この機能は年内にベータ版として利用可能となり、2025年に一部の機能が提供される予定。両社の提携についてはブルームバーグがWWDCの前に報じていた。  

  今年のWWDCには、オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)も出席。アップルとの提携は「非常にうれしい」とX(旧ツイッター)に投稿した。

  プレゼンテーションの主要テーマの一つは顧客データの安全性確保だった。フェデリギ氏は、「プライベート・クラウド・コンピュート」と呼ばれるシステムにより、ユーザーの情報がデータセンターに送られる際の安全性が保たれるようになると説明した。

  アップルは各OSの最新バージョンを披露したが、投資家やユーザーが最も注目していたのはAIの詳細だった。生成AI分野で先行するマイクロソフトやアルファベット傘下グーグルに追いつこうと、アップルは攻勢を強めている。

  WWDCに対する投資家の反応は鈍かった。これまでもアップルが待望の新機能を発表した際に、こうした反応はしばしば見られていた。アップルの発表後、同社の株価は下落。1.9%安で通常取引を終えた。

  アナリストはWWDCについて、特に予想外の発表はなかったとの見方を示した。

  ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)は「アップルの開発者向けイベントは、消費者のプライバシー保護強化に焦点を絞ったもので、一連のメディアが報じたアップデートとおおむね一致しており、サプライズはなかった」と分析した。

  バイタル・ナレッジはAI関連の詳細について「ここ数カ月の多くの予想記事とおおむね一致していたため『予想通り』というのが直後の印象であり、ここ最近の株価上昇を考えると『予想通り』では少々期待外れだ」と指摘。

  「AIの話題は短期的にアップル株のボラティリティーを高める要因となるが、長期的に株価を左右するのはiPhoneだ」とした上で、「年内に新デバイスが投入される時に」AIが「販売を後押しする可能性がある」と述べた。

原題:Apple Debuts Long-Awaited AI Tools, Including ChatGPT Tie-Up (1)(抜粋)

Apple Slips as AI Event Featured No Major Surprises: Street Wrap(抜粋)