Rita Nazareth
- PPIがディスインフレの兆候示す、年内の利下げ観測強まる
- 10年債利回り4.3%割れ、30年債入札に高需要-仏政治リスクも意識
13日の米株式市場ではS&P500種株価指数が小幅上昇し、4営業日連続で最高値を更新した。生産者物価指数(PPI)がディスインフレの兆候を示したため、年内の利下げ観測が強まり、国債利回りが低下した。
米PPI、5月は前月比で予想外の低下-前年比やコアも減速 (3)
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 5433.74 | 12.71 | 0.23% |
ダウ工業株30種平均 | 38647.10 | -65.11 | -0.17% |
ナスダック総合指数 | 17667.56 | 59.12 | 0.34% |
5月のPPIは前月比で予想外に低下。昨年10月以来、7カ月ぶりの大幅な落ち込みとなった。米金融当局がインフレ目標とする個人消費支出(PCE)価格指数の算出に使われるいくつかのカテゴリーは前月比で低下した。
コメリカ・バンクのビル・アダムズ氏は「最新の統計は、連邦公開市場委員会(FOMC)が年内に利下げを開始するための扉をもう少し開けた」と指摘した。同氏は9月と12月の利下げを予想している。
エバコアのクリシュナ・グハ氏は「これはまだ1カ月の指標に過ぎない。6月のFOMC会合で重要な点は、金利に関して米金融当局が動くには、格段に持続的な下振れが今後数カ月続く必要があるということだ。しかし、これはまさに慎重なFOMCを2回の利下げに導く上でパウエル議長が必要とするデータだ」と語った。
電気自動車(EV)メーカーのテスラは大幅高。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は自身の報酬パッケージが株主から支持される方向だと明らかにした。ブロードコムは半導体株の上昇をけん引した。予想を上回る決算に加え、1株を10株に分割する計画を示した。ゲームストップは上昇。「ロアリング・キティ」とオンラインで知られる投資家、キース・ギル氏がソーシャルメディアのX(旧ツイッター)に投稿した。
米国債相場は上昇。10年債利回りは4.3%を下回った。30年債入札では強い需要が見られた。フランスの政治リスクの高まりで、安全資産と見なされるドイツ債に対するフランス債の上乗せ利回り(スプレッド)は7年ぶりの大きさに拡大した。
国債 | 直近値 | 前営業日比(BP) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.40% | -7.8 | -1.74% |
米10年債利回り | 4.24% | -7.2 | -1.66% |
米2年債利回り | 4.70% | -5.3 | -1.11% |
米東部時間 | 16時54分 |
欧州連合(EU)発行債も下落した。MSCIがEU債を政府債インデックスに加えないと決定、投資家の期待が損なわれた。
EU債下落、政府債指数入りへの努力実らず-MSCIが採用見送り
外国為替市場では、ドルが他の安全通貨とともに上昇した。FOMCの金利予測分布図(ドットプロット)が比較的タカ派の内容だったため、慎重なムードが広がり、逃避目的の買いが入った。フランス総選挙を巡る懸念はユーロを圧迫した。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1264.43 | 1.08 | 0.09% |
ドル/円 | ¥157.04 | ¥0.32 | 0.20% |
ユーロ/ドル | $1.0739 | -$0.0070 | -0.65% |
米東部時間 | 16時54分 |
ユーロは対ドルで一時、1ユーロ=1.0733ドルまで下げ、今週の安値1.0720ドルに近づいた。
対ドルの円相場は軟調。1ドル=157円台前半から156円台後半でもみ合った。PPI発表直後には156円59銭と、小幅高に転じる場面もあった。
ニューヨーク原油先物相場は小幅に続伸。米PPI統計でインフレが落ち着きつつある兆候が示されたほか、ロシアが生産量の削減に合意したことが支援した。
ロシアが石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」で合意した割当枠を超過した分について、減産を通じて相殺する方針を明らかにしたことが、価格下支えの一因となった。ロシアの新たな計画では、昨年発表した日量50万バレルに加え、日量47万1000バレルの生産を削減することが含まれる。背景には、米国の原油在庫が予想外に増えるなど、供給が引き続き潤沢なことがある。
一方、イエメン沖では船舶への攻撃が続いている。英海軍によると、アデン湾を航行中の貨物船が2発の砲撃を受けて炎上。同海域では2日連続で大規模な攻撃が発生している。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)でWTI先物7月限は前日比12セント(0.15%)高の1バレル=78.62ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント8月限は0.2%高の82.75ドルで終えた。
金スポット価格は下落。年内の米利下げ見通しを巡り、相反するシグナルが発せられたことが背景にある。
5月の米PPIは前月比で予想外に低下し、インフレ圧力の後退を改めて示す内容となった。また米新規失業保険申請件数はおよそ9カ月ぶりの水準に増えた。
だが、前日のFOMC会合後の経済予測では、年内の利下げは1回にとどまるとの見方が示された。金融当局者は利下げに踏み切る前にインフレ鈍化のさらなる証拠を得たいとしている。高水準の金利は通常、利子を生まない金には重しとなる。
金スポット価格はニューヨーク時間午後2時32分現在、前日比22.65ドル安の1オンス=2302.32ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は、前日比36.80ドル(1.6%)安の2318.00ドルで引けた。
原題:S&P 500 Notches Its Fourth Straight All-Time High: Markets Wrap(抜粋)
Dollar Gains after PPI Hiccup; Euro Retreats: Inside G-10
Oil Steadies as US Inflation Cools, Russia Vows to Cut Output
Gold and Base Metals Ease as Traders Weigh Mixed US Signals