Greg Stohr
- リプロダクティブライツと選挙の行方を左右しかねない重要ケース
- 中絶に反対する医師団の「原告適格」を最高裁認めず、高裁判断翻す
米連邦最高裁判所は人工妊娠中絶で広く使用されている経口中絶薬について、完全なアクセス維持を支持した。リプロダクティブライツ(性と生殖に関する権利)と今年の選挙を左右しかねない重要なケースで判断を下した。
経口中絶薬「ミフェプリストン」は現在、米国における人工妊娠中絶の半数以上で使用されている。連邦高等裁判所は昨年、郵送での処方禁止につながる判断を下し、リプロダクティブライツが広く支持される州でもアクセスが制限される恐れがあった。
最高裁は13日、高裁の判断を覆したものの、2016年からはミフェプリストンに関する規制を緩めるとした米食品医薬品局(FDA)の決定追認までは踏み込まなかった。最高裁判事の過半数はただ、ミフェプリストン禁止を求めて提訴した反中絶派の医師たちはFDA判断から直接影響を受けないとして、「原告適格(訴訟を起こす資格)」を認めないとの判断した。
この訴訟はバイデン政権とキリスト教団体「アライアンス・ディフェンディング・フリーダム」の間で争われた。この団体は人工中絶の権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」の取り消しを求めて働きかけ、同判決は2022年に最高裁によって覆された。医薬品メーカーのダンコ・ラボラトリーズはバイデン政権とともに権利擁護で闘ってきた。
原題:Supreme Court Backs Full Access to Widely Used Abortion Pill (2)(抜粋)