Rita Nazareth

  • S&P500種が小幅安-債券や金、ドルに逃避買い
  • NY原油先物は下落、週間では4月以来の大幅上昇-金反発
New York Stock Exchange As US Stock Futures Drop As Jobs Growth Blows Past Estimates
Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

14日の米株式市場ではS&P500種株価指数が小幅安。フランスの政治危機への懸念が深まるにつれ、世界的に不安な心理が再燃し、売りが優勢になった。一方、債券や金、ドルといった安全資産に逃避買いが入った。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数5431.60-2.14-0.04%
ダウ工業株30種平均38589.16-57.94-0.15%
ナスダック総合指数17688.8821.320.12%

  ミラー・タバクのマット・メイリー氏は「欧州の状況は少し危うくなり始めている。この状況が新たなソブリン債危機に発展するには程遠いが、政府債務の急増や予算の肥大化が懸念される中、欧州(特にフランス)の動向は市場に懸念をもたらしている」と述べた。

  6月の米ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は予想外に7カ月ぶりの水準に沈んだ。物価の高止まりが家計に対する見方を圧迫する構図が続いている。クリーブランド連銀のメスター総裁は、最新の物価統計が歓迎すべきものであったにもかかわらず、インフレリスクは依然として上方向に傾いているとの見方を示した。

クリーブランド連銀総裁、インフレへのリスク「まだ上向き」 (1)

  S&P500種は資本財・サービス株を中心に売りが優勢となった。一方、ハイテク株は堅調で、通期利益見通しを上方修正したソフトウエアメーカーのアドビは15%上昇した。

  米国債相場は上昇。ドイツ債の上昇につれる格好となった。フランス債とドイツ債のスプレッドは週間ベースで過去最大となる29ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大した。

【欧州市況】仏独債利回り差、週間で過去最大の拡大-株は軒並み下落

国債直近値前営業日比(BP)変化率
米30年債利回り4.35%-4.8-1.10%
米10年債利回り4.22%-2.7-0.64%
米2年債利回り4.70%0.50.11%
  米東部時間16時56分
France-Germany Yield Spread Widens Most Ever This Week
仏独スプレッド出所:ブルームバーグ

  BMOキャピタル・マーケッツのイアン・リンジェン、ベイル・ハートマン両氏は「フランス経済と欧州連合(EU)の関連性、そして英国のEU離脱という過去の記憶がよみがえることを考えると、質への逃避はもっともだ。フランスが英国に続いてEUを離脱した場合、EUの長期的な見通しを真剣に検討する必要がある」と述べた。

  外国為替市場ではドルが上昇。週間ベースでも4週連続で上げた。フランス議会選挙を控えて欧州資産が軟調となり、安全通貨に買いが入った。ユーロは対ドルで一時1.0668ドルと、5月1日以来の安値水準を付けた。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1266.912.480.20%
ドル/円¥157.37¥0.340.22%
ユーロ/ドル$1.0705-$0.0032-0.30%
  米東部時間16時57分

  ニューヨークの取引時間帯に対ドルでの円相場は、1ドル=157円台前半で小動きとなった。アジア時間には日本銀行の政策発表後に158円26銭まで下げていた。

  ニューヨーク原油先物相場は下落。週間では4月以来の大幅上昇となった。

  その大半は今週10日の値上がり分が占めた。石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」が生産削減幅の縮小計画を発表した後、原油は大きく売り込まれていたが、10日には押し目買いが入った。OPECプラスはその後、必要に応じて減産幅縮小を一時停止または撤回する可能性があると強調している。

  季節的な需要の高まりを背景に、石油製品も原油価格を支援している。今週ニューヨークのガソリン先物価格は約0.7%上昇。欧州のディーゼル市場では製油マージンが2か月ぶりの高水準となり、需給ひっ迫を示唆した。今週発表された航空データによると、航空便の運行状況は新型コロナウイルス流行前の水準に戻った。 

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  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)でウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物7月限は前日比17セント(0.2%)安の1バレル=78.45ドルで終了。週間では3.9%上昇した。ロンドンICEの北海ブレント8月限は13セント(0.2%)安の82.62ドルで引けた

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WTI先物の週間騰落率出所:NYMEX

  金スポット価格は反発。週間では4週ぶりに上昇した。米金融当局が近く利下げを開始するとの見方に加え、フランスで政治危機が深まっていることが支援した。

  サクソバンクの商品戦略責任者オレ・ハンセン氏は「フランスの極右政党が再び勝利することで債務危機が発生しかねないとの懸念が強まっており、金への逃避買いが膨らむ可能性がある」と指摘。

  「米利下げ開始の見通しやインフレを含む経済指標の弱含みに伴う米国債利回りの低下が、ドル高による悪影響を相殺する一助になっている」と述べた。

  金は逃避先としての需要に加え、中央銀行や中国消費者による買いで、今年に入って約13%上昇。しかし中国人民銀行(中央銀行)が1年半続けてきた金購入を停止したことで、市場のセンチメントは打撃を受けている。

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  INGグループの商品ストラテジスト、エワ・マンゼイ氏は「当社では、現在の高値から下落するとの予想を維持している」と指摘。「米金融当局は依然として利下げに慎重であり、中銀による支援も弱まっている」と述べた。 

  金スポット価格はニューヨーク時間午後3時25分現在、前日比29.17ドル高の1オンス=2333.37ドル。一方、ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は31.10ドル(1.3%)上昇し2349.10ドルで引けた。

原題:Traders Shun Risk as French Turmoil Rattles Globe: Markets Wrap(抜粋)

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