Ania Nussbaum、William Horobin

  • 仏MEDEF、各党候補者を招いた会合で極右と左派に厳しい質問
  • 主要3政党の選挙公約、実現にはそれぞれ年100億ユーロ以上必要に

フランスで政権奪取を狙う極右と左派に対し、起業家が示したのは厳しい対応だった。両勢力はそれぞれ財政再建計画を打ち出したが、具体的な詳細には乏しかった。

  マクロン大統領が発表した国民議会(下院)総選挙の第1回投票があと10日に迫る中で、フランスの経営者組合MEDEFは主催する会合で、マクロン氏与党の追い落としを狙う候補者らに厳しい質問を浴びせた。

  既に会合が始まる前から、対決姿勢は示されていた。MEDEFの責任者を務めるパトリック・マルタン氏はフィガロ紙とのインタビューで、世論調査で優勢が伝えられる極右政党・国民連合(RN)と左派連合の政策を激しく批判した。

  首相候補のバルデラRN党首は会合で行った発言の冒頭で、「朝起きて、自分を1時間後の会合に招いた人物から自分が危険だと表現されているのを知るのはいつだってうれしいものだ」と皮肉った。

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  この会合が行われている間、フランス政府は総選挙決定でマクロン氏が金融市場を混乱させて以来、初の国債入札を実施。前日には欧州委員会がフランスなど7カ国に財政規律違反の是正を求める「過剰赤字手続き」を開始した。こうした背景は、フランスの政治混乱に対する注目をいっそう高める。

  フランスのシンクタンク、モンテーニュ研究所は20日公表したリポートで、RNと左派連合、マクロン氏与党の主要3政党の選挙公約を実現させるには、消費者の所得向上措置だけでそれぞれ年100億ユーロ(約1兆7000億円)以上が必要になると試算した。

  このリポートの筆頭筆者であるリサ・トーマスダルボア氏は極右と左派の公約について「提案されている政策は本質的に新たな歳出だけだ。選挙では魅力的に映るが、財源の手当がない」と指摘。「従って、市場を混乱に陥れることがあり得る」と述べた。

  これらのうち、最も急激なのは左派の計画だ。左派連合は最低賃金の大幅な引き上げとマクロン氏が導入した富裕層向け減税の撤廃、所得税制の変更、生活必需品の一部に対する価格統制などを唱えており、ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミストらによると、約880億ユーロの財政緩和が必要になる。

  左派連合の代表として今回の会合に出席した「不屈のフランス」のエリック・コクレル元下院財政委員会委員長は、最低賃金の引き上げは企業にとって「厳しい衝撃」になるだろうと認めつつ、政策を擁護。フランスが欧州連合(EU)の財政規則を再交渉しようとするなら、重大な影響力を持ち、他国の支持も得られるだろうと話した。

Eric Coquerel, left, and Boris Vallaud
「不屈のフランス」のエリック・コクレル氏(左)Photographer: Nathan Laine/Bloomberg

原題:Macron Opponents Face Hostility From French Business Chiefs (1)(抜粋)