[ブリュッセル/キーウ/ワルシャワ 27日 ロイター] – 欧州連合(EU)およびEU加盟国のリトアニアとエストニアは27日から2日間の日程でブリュッセルで開かれた首脳会議で、ウクライナのゼレンスキー大統領と安全保障協定に署名した。首脳会議では今後5年間のEUの戦略的方針を定めるほか、EU主要機関の人事を決定する。
ロイターが入手した草案によると、EUとウクライナの協定では、武器の供給、軍事訓練、防衛産業での協力、地雷除去など安保・防衛政策における9つの分野でウクライナを支援するというEUのコミットメントが定められている。
また、ウクライナはロシアに併合された領土を取り戻さなければならないこと、ロシアの勝利はあり得ないことなどを強調。必要な限りウクライナを支援するとの確約を改めて表明することが示された。
さらに首脳会議では、主要7カ国(G7)が制裁で凍結されたロシア資産から生じる利子を活用してウクライナに提供する計画の500億ドルの融資について、詳細をまとめるよう主要機関に要請する見込み。
今回の安保協定は、リトアニアおよびエストニアと締結した協定とともに、ロシアの侵攻に対する防衛を続ける中でウクライナとその同盟国との間で締結された他の同様の協定を補完することが目的という。
米英仏独などがウクライナと同様の協定を締結している。
当局者によると、今回の協定は北大西洋条約機構(NATO)加盟国間の相互防衛協定と同じものではないが、ウクライナの安全保障を強化し、将来的な侵攻を抑止するために、ウクライナに武器やその他の支援を提供することを確約しているという。
EUの外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は「われわれは防衛への投資が不足しており、失った時間を取り戻さなければならない」と指摘。「防衛力を強化するために大規模な財政支援をしなければならない。これは容易なことではない」とした。
ゼレンスキー大統領は首脳会議で、ロシアが今春、ウクライナ北東部ハリコフ州で攻勢を強めたことはロシアに対するこれまでの国際的圧力が不十分であることを示していると訴えた。
また、ポーランドのトゥスク首相はXへの投稿で、7月9日にワシントンで開催されるNATO首脳会議に先立ち、ワルシャワでゼレンスキー大統領と会談すると明かした。