▽米民主有力議員、バイデン氏への支持相次ぎ表明-有権者は懸念強める<bloomberg日本語版>2024年7月1日 1:10 JST
Alicia Diaz
- クライバーン・ペロシ両氏ら、テレビ番組で支持を再表明
- CBSの世論調査、バイデン氏の健康を不安視する有権者が増加
米民主党の有力議員らは30日、日曜日の政治テレビ番組に相次ぎ出演し、バイデン大統領の再選を支持する考えを改めて強調した。
11月の米大統領選に向けた27日のテレビ討論会で精彩を欠くパフォーマンスに終わったバイデン氏を巡っては、同氏の指導力に対して、有権者が懐疑的な見方を強めていることが世論調査で示された。
2020年の大統領選でバイデン氏の選挙戦立て直しに貢献した重鎮のジム・クライバーン下院議員(サウスカロライナ選出)はCNNの「ステート・オブ・ザ・ユニオン」で、討論会でのパフォーマンスは「悪かった」と指摘。これを受けて下院議員の間で「若干の不安が広がった」と認めつつも、「バイデン氏は自身の実績」とトランプ前大統領との対比を武器に「再選を目指すべきだ」と述べた。
もっとも、有権者はバイデン氏の健康状態に疑念を募らせている。30日公表されたCBSニュースの世論調査(登録有権者対象)によると、バイデン大統領が任務を遂行する上で、精神および認知面の健康状態が十分に良好と考える有権者の割合は27%と、6月上旬の35%から落ち込んだ。
バイデン陣営の幹部も務めるクリス・クーンズ上院議員(デラウェア州選出)はABCの番組で、「コメンテーターたちの間で、悲痛な叫びや懸念、衝撃が広がっているのは理解している」と指摘。それは「率直に言って予想通りだ」と述べた。
ナンシー・ペロシ元下院議長はCNNに対し、バイデン氏にとって「悪い夜」だったと述べた上で、「そこから前に進もう。すべてはチャンスだ」と述べた。
バイデン陣営は30日、27日以降に3300万ドル(約53億円)以上の献金を集めたと発表した。そのうち2600万ドルは草の根の寄付によるものだという。陣営によると、27日はこれまでで最も草の根の献金が多く集まった日で、28日は2番目だったとしている。
原題:Top Biden Party Allies Close Ranks as Poll Signals Voter Concern(抜粋)
関連情報
▽【米大統領選2024】 民主党はバイデン大統領の代わりを擁立できるのか……そう簡単ではない<BBC日本語版>2024年6月29日
クリス・ヘイズ、ホリー・ホンデリッチ、レイチェル・ルッカー BBCニュース
ジョー・バイデン米大統領が窮地に立たされている。ドナルド・トランプ前大統領との討論会での様子がひどく不評だからだ。
民主党関係者はBBCに、党内がパニック状態で大混乱していると明らかにした。81歳の大統領は、選挙から撤退すべきかどうかが議論されているという。
米紙ニューヨーク・タイムズの社説は、アメリカのリベラル派の心臓部分そのものだ。そしてその社説は28日、今のバイデン氏はかつてに比べると見る影もなく、もはや身を引くべきだと主張した。
けれども、バイデン氏は現時点で撤退できるのだろうか。その場合、何がどうなるのか。そして、誰が代わりになり得るのか。
端的に言うと、本人が身を引くと同意しない限り、難しい。そして、非常に厄介な事態になるおそれがある。
どういう展開があり得るか、検討してみる。
バイデン氏は撤退できるか?
できる。そして、もしも(この「もしも」は強調する必要がある)、バイデン氏が引退することになれば、別の候補者を探すのは比較的簡単なはずだ。
民主党が大統領選の候補を正式に決めるのは、8月19〜22日にシカゴで開催される民主党全国大会だ。
オハイオ州の投票証明期限に間に合わせるため、民主党は今回、シカゴに集まる前に、バイデン氏とカマラ・ハリス副大統領をオンラインで指名する予定にしている。
その指名を受けて候補者は、党の「代議員」(正式に候補者を選ぶ党役員)の過半数の支持を得る必要がある。代議員は、各州の予備選挙の結果に基づき、候補者に比例配分される。
今年の予備選でバイデン氏は、全代議員約4000人のほぼ99%を獲得した。
民主党全国委員会(DNC)の規則では、バイデン氏が予備選で獲得した代議員たちはバイデン氏を支持すると「誓約」している。
そのバイデン氏が自ら降板した場合、代議員たちは「誓約」から解放され、だれを支持しても構わないということになり得る。
その場合、党大会は「オープン・コンベンション」と呼ばれるものになる。従来のように予備選を経てすでに指名が決まっている候補者にお墨付きを与えるだけではなく、実際に党大会の場で、複数の候補者について代議員が議論し、1人の候補が過半数を獲得するまで投票を続けるという仕組みだ。
このような事態になれば、指名を争う民主党関係者が激烈に競い合う可能性がある。
バイデン氏は今のところ、撤退を検討するようなそぶりは見せていない。
しかし、もし選挙から降りることになれば、「まったく別の問題が出てくる」と政治史を研究するリア・ライト・リグール氏はBBCニュースに話した。
「もしも別の候補を立てるなら、身を引くための交渉の中で、後任を誰にするか最終的な決定権をバイデン氏は要求すると思う」
追い出される可能性は
この展開はさらにあり得ない。そして、もし本人が撤退したくないなら、ここから先が本当に厄介になる。
現代のアメリカ政治において、予備選で勝った候補者から本人の意向に反して候補指名を取り上げるなど、主要政党が行ったことはない。そして、民主党が真剣にそのようなまねを計画している様子もない。
ただし、DNCの規則にはいくつかの抜け穴があり、理論的にはバイデン氏を追い出すことができる。
規則では、代議員は「自らを選んだ人々の思いを反映し、誠実に」行動することが認められている。
その場合は、「ひどく醜い争いにつながりかねない」と、ライト・リグール氏は言う。
党の代議員がそのような反乱を起こすとは思えないと、複数の専門家はBBCに話している。
しかし、DNCは党則をいつでも変更できる。
ライト・リグール氏は、かつて1968年に当時のリンドン・B・ジョンソン大統領が再選を目指さないと決めた時のことを例に挙げる。
民主党はこの時、代議員が党大会で誰でも好きな候補者に投票できるオープンな方式から、代議員が予備選の結果に基づいて候補者に拘束される方式に移行した。
「党の規則委員会はいつでも、大統領候補の選び方に関する規則を変更できる」とライト・リグール氏は説明し、「可能性が全くないことは何もない」のだと付け加えた。
仮にバイデン氏がいきなり選挙戦から離脱したとしても、代わりに擁立される候補の法的正当性を問題視し、提訴しようとする動きも保守派の間に出ている。
ハリス氏はバイデン氏の代わりになれるか
カマラ・ハリス副大統領は、バイデン氏が大統領の任期中に退任した場合、自動的にその後任となる。
しかし、大統領選についてはこの決まりは適用されない。つまり、バイデン氏が11月の選挙から撤退したとしても、ハリス氏が自動的に党の候補になるというわけではない。
ハリス氏は他の候補者と同じように、代議員の過半数を獲得しなくてはならない。
すでに民主党の副大統領候補として指名されることが決まっているだけに、ハリス氏は確実に有利だろう。しかし、アメリカ国民の間での人気があまり高くないことが、不利に働くかもしれない。
調査会社ファイブサーティエイトによると、支持率と不支持率の差分は、バイデン氏もドナルド・トランプ前大統領もハリス氏もマイナスで不支持率のほうが高いが、この3人の中で不支持率が一番低いのはハリス氏だという。
ほかに誰が代わりになり得る?
今年の民主党予備選では、ミネソタ州選出のディーン・フィリップス下院議員や作家のマリアン・ウィリアムソン氏が、バイデン氏に挑戦した。
しかし、どちらにも勝算はなかったし、この両氏がバイデン氏の代わりになる可能性はほとんどない。
カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事や、ミシガン州のグレッチェン・ウィトマー知事、ペンシルヴェニア州のジョシュ・シャピロ知事に期待する声もある。
しかし、現職大統領の代わりになりたいとは、この3人は誰も公に意思表示していない。
憲法修正第25条が発動される可能性は?
憲法修正第25条のもと、大統領が職務を遂行できないと、副大統領と閣僚の過半数が宣言することは可能だ。
この場合、大統領権限は副大統領に移譲され、副大統領が大統領代行となる。
実際にこの条項が適用されたことは、これまで一度もない。
しかし、27日の討論会を受けて、連邦議会の共和党幹部はバイデン政権の閣僚に対し、修正第25条の発動を検討するよう求めた。
2021年1月の連邦議会襲撃事件の後、民主党が多数だった当時の下院は、マイク・ペンス副大統領(当時)に対し、修正第25条を発動してトランプ大統領から大統領権限を取り上げるよう促す決議案を可決した。しかし、この動きはそのまま頓挫した。
(英語記事 Can Biden be replaced as Democratic nominee? Not so easy)
Can Biden be replaced as Democratic nominee? Not so easy)
▽「出馬すべきでない」72% バイデン氏、討論会で高齢不安―米調査<時事ドットコム>2024年07月01日05時51分