Rita Nazareth
- 株式市場は午後1時まで、国債市場は午後2時までの短縮取引
- 市場ではバイデン氏の選挙戦撤退への警戒感も強まっている
3日の米株式市場でS&P500種株価指数は続伸。過去最高値を再び更新した。一連の経済指標が予想を下回ったことで、年内利下げの観測が強まった。米独立記念日の祝日を翌日に控え、この日は午後1時までの短縮取引だった。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 5537.02 | 28.01 | 0.51% |
ダウ工業株30種平均 | 39308.00 | -23.85 | -0.06% |
ナスダック総合指数 | 18188.30 | 159.54 | 0.88% |
ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)のウィン・シン氏とエリアス・ハダッド氏は、米金融当局にとって協力的なデータが続けば、9月の利下げは「大いにあり得る」と述べた。
シティー・インデックスのファワド・ラザクザダ氏は「悪いニュースは良いニュース。これがリスク資産の反応だった。きょう発表された経済データはすべて予想を下回った」と語った。
米経済指標 |
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・米ISM非製造業景況指数、6月は活動縮小示唆-4年ぶり低水準 ・米ADP民間雇用者数、6月は15万人増に減速-賃金の伸びも鈍化 ・米製造業受注、5月は前月比0.5%減-予想を下回る ・米貿易赤字が拡大、2022年以来の大きさ-財輸出の弱さが鮮明に ・米失業保険の継続受給者数、9週連続で増加-再就職が困難な情勢示唆 |
米労働市場の状況は5日発表の6月雇用統計でさらに明らかになる。エコノミストの予想では、非農業者部門雇用者数が19万人増と、前月から伸びが減速する見通し。失業率は横ばいの4%と予想されている。
米国債相場は上昇。10年債利回りは一時9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。国債市場は午後2時までの短縮取引。金利スワップ市場では年内ほぼ2回の利下げが見込まれており、9月利下げ開始の織り込み具合が強まった。
国債 | 直近値 | 前営業日比(BP) | 変化率 |
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米30年債利回り | 4.53% | -7.7 | -1.68% |
米10年債利回り | 4.36% | -7.3 | -1.65% |
米2年債利回り | 4.71% | -3.5 | -0.74% |
米東部時間 | 14時00分 |
ストラテガス・セキュリティーズのドン・リスミラー氏は「雇用が大幅に弱まるまでは、米経済には基本的な支えが残るが、減速の兆候も見られる」と指摘。「米金融当局はインフレ鈍化の進展をもっと目にしたいとの意向を示している。幸いなことに、現在の米経済は金利据え置きの長期化にも十分耐えられるほど堅調に見える。しかし、時は刻々と過ぎてゆく」と語った。
ニューヨーク時間午後2時に公表された6月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合議事要旨では、インフレが冷え込んでいることを示すさらなる証拠を待ちたいとの当局者の認識が示された。高金利をいつまで維持するかを巡っては意見が分かれた。
キャピタル・エコノミクスのポール・アシュワース氏は同議事要旨について、6月11-12日の会合後に見られた景気減速の兆候を踏まえると、内容が「古く感じる」と語った。
投資家は、米大統領選を巡る状況にも神経をとがらせている。米紙ニューヨーク・タイムズによれば、バイデン氏は近日中に世論を動かせられなければ再選を断念せざるをえないかもしれないと側近に漏らした。ホワイトハウスとバイデン陣営は直ちにこの報道の内容を否定。ただ民主党の議員数十人はバイデン氏に撤退を求める書簡への署名を検討していると、党幹部が明らかにした。
バイデン氏が候補を辞退するとの観測は急速に高まっており、賭け市場では選挙戦を継続する可能性は50%未満とみられている。投資家は米独立記念日の祝日や週末に何らかの発表がある場合に備え、対応策を急いでいる。
バイデン氏の候補辞退を警戒するウォール街、ポートフォリオ見直しも
外国為替市場ではドルが下落。米供給管理協会(ISM)が発表した6月の非製造業総合景況指数は活動縮小を示唆し、4年ぶりの低水準となった。これを受けてドル指数は一時3週間ぶり安値を付けたが、その後はやや下げ渋った。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
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ブルームバーグ・ドル指数 | 1265.78 | -3.21 | -0.25% |
ドル/円 | ¥161.71 | ¥0.27 | 0.17% |
ユーロ/ドル | $1.0787 | $0.0042 | 0.39% |
米東部時間 | 15時56分 |
ニューヨーク時間午前10時の同統計発表後、円相場は一時1ドル=160円78銭まで上昇。ただ、高水準の日米金利差を背景とした円売り・ドル買いの需要は根強く、その後は再び161円台後半まで下げた。
ニューヨーク原油先物相場は反発。およそ2カ月半ぶりの高値で終了した。原油在庫が約1年ぶりの大幅減となったことで買いが入った。
米エネルギー情報局( EIA)が発表した週間統計で、米原油在庫は先週1220万バレル減少し、2023年7月後半以来の大幅減となった。
中東や欧州の地政学的リスクも相場を支えている。イスラエルとレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの戦闘が激化し、対立が広範な地域に広がるとの懸念がある。投資家はフランスと英国の選挙結果も警戒している。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物8月限は前日比1.07ドル(1.3%)高の1バレル=83.88ドルと、4月半ば以来の高値で終了した。
ロンドンICEの北海ブレント9月限は1.10ドル(1.3%)上昇し、87.34ドルで引けた。
金相場は反発。市場関係者の間では、米利下げ時期に関する新たな手掛かりを得ようと、週内に発表される経済指標を待つムードも強い。
5日に雇用統計の発表を控え、今週の金相場は比較的狭いレンジでの取引が続いている。
金スポット価格はニューヨーク時間午後2時37分現在、前日比1.2%高の1オンス=2356.31ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は36ドル(1.5%)高の2369.40ドルで引けた。
原題:S&P 500 Hits Fresh Peak in Run-Up to Jobs Report: Markets Wrap
S&P 500 Closes at Record High Ahead of US Holiday: Markets Wrap
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Dollar Stumbles After ISM Data Signals Contraction: Inside G-10
Oil Rallies to Two-Month High After US Crude Stockpile Decline