Annmarie Hordern、Daryna Krasnolutska
- ウクライナのゼレンスキー大統領、ブルームバーグTVに発言
- トランプ氏と会談する「用意が可能性として」ある-ゼレンスキー氏
ウクライナのゼレンスキー大統領はホワイトハウス返り咲きを狙うトランプ前米大統領に対し、ロシアとの戦争を速やかに終わらせる同氏の計画を明らかにするよう求め、いかなる提案もウクライナの主権を侵害するものであってはならないとくぎを刺した。
ゼレンスキー氏は3日、キーウでブルームバーグ・テレビジョンのインタビューに応じ、「トランプ氏がこの戦争を終わらせる方法を知っているというなら、われわれに今すぐ伝えるべきだ」と発言。「ウクライナの独立が脅かされるリスクはあるか、独立国家の地位を失うのか。リスクに備えたいし、われわれは知りたい」と語った。
11月の大統領選を控え世論調査でバイデン大統領をリードするトランプ氏は、自分なら来年1月の大統領就任時までに戦争を終結できると豪語。先週のバイデン氏とのテレビ討論では、ウクライナの国防に米国が多額の資金を拠出していることを非難し、ウクライナは「戦争に勝てない」と断言した。
ほぼ1時間にわたったインタビューで、ゼレンスキー氏は西側支援国による兵器供給の遅れに遺憾の意を示すとともに、トランプ氏と会談して提案内容に耳を傾ける「用意が可能性として」あると表明した。
トランプ氏のチームが「私やウクライナ市民、ウクライナの子供たちの命をもてあそんではならない」と述べ、「11月に米国の強力な支援が得られるのか、見捨てられるのか、理解したい」と続けた。
ウクライナとロシアが戦場で膠着(こうちゃく)しているとの考えには反発し、ウクライナ軍は兵力の点で1カ月前に比べて改善していると主張。新たな攻勢は兵器が整うかが問題だと語った。
米議会が半年遅れで今年承認した610億ドル(約9兆8700億円)の支援パッケージには謝意を示しつつ、軍装備品が戦場に届くまでに時間が長くかかり過ぎていると指摘した。
「決定から現実の事実となるまでに、長い長い待ち時間がある。それがこの戦争最大の悲劇だ」とゼレンスキー氏は述べた。
同氏はまた、ロシアが中国市場に輸出を大きく依存している点を挙げ。戦争解決に中国が「極めて大きな役割」を果たすことができるとも主張。米中が相違を脇へと追いやり、戦争終結に向け協力することもできると示唆した。
アゼルバイジャン産ガス
ウクライナがアゼルバイジャン産ガスの欧州連合(EU)向け輸送を担うことも協議していると、ゼレンスキー氏は明らかにした。ウクライナはガス輸送の中継国としての役割を維持し、西側で隣り合う諸国のエネルギー安全保障に寄与する狙いがあるという。
ゼレンスキー氏はロシア産ガスに代えてアゼルバイジャン産ガスを中継輸送する可能性が現在協議されている「提案の一つ」だと説明。「ウクライナのパイプラインを別のガスサプライヤー、別の国でどう活用できるか現在検討中だ。交渉が進んでいる」と語った。
ロシアのウクライナ侵攻開始以来、欧州はロシア産ガスからの脱却を図っているが、欧州の一部の国はウクライナを経由するパイプラインを通じてロシア産ガスの供給を引き続き受けている。このガス輸送協定は今年末で切れる予定で、市場関係者の多くはガス輸送が停止されると見込んでいる。
ゼレンスキー氏は「ロシアとのガス契約を延長したくはない。ロシアにウクライナで資金を稼がせたくはない」と述べた。
このインタビューを受け、欧州の指標ガス価格は小幅に下落。メガワット時当たり33ユーロを割り込んだ。
原題:Zelenskiy Challenges Trump to Reveal Plans for Ending War (1)、
Zelenskiy Says Ukraine Discussing Transit of Azeri Gas to EU (1)(抜粋)