By Elizabeth Pineau, Dominique Vidalon
[パリ 8日 ロイター] – フランス国民議会(下院)総選挙の決選投票で第1勢力となった左派連合「新人民戦線(NFP)」は8日、改めて政権樹立への意欲を示した。ただどの勢力も過半数の289議席を大きく下回っており、多数派形成に向けた協議は難航が予想されている。
NFPは、極右「国民連合(RN)」の躍進を阻止するため選挙直前に結成され、極左「不屈のフランス」や共産党から社会党、環境派まで幅広い勢力が参加しているため、内部で重要事案についてしっかりした合意が成立していないように見える。例えば、マクロン大統領が率いる与党中道連合と連携するべきかどうかといった問題だ。
実際「不屈のフランス」のジャン・リュック・メランション党首はこれまでのところ、中道と組むことに否定的な考えを表明している。
今後は182議席のNFPが少数与党として政権を立ち上げるか、いわゆる「野合」的な多数派による連立政権が生まれるといった可能性が想定される。ただ少数与党政権では、他の勢力の支持を取り付けられない場合、不信任案が提出されて退陣を迫られかねない。
こうした中で環境派リーダーのマリーヌ・トンデリエ氏も「(政権樹立は)そうすんなりとは行かないだろう」と認めた。
NFPに属する議員の一人もロイターに「われわれには一定の時間が必要だ」と語り、どのような選択肢も複雑さを伴うと付け加えた。
一方「不屈のフランス」のマニュエル・ボンパール氏は社会党や環境派、共産党とNFPの戦略を話し合う会合の前に「大統領は今回の選挙結果を尊重して、われわれ(NFP)に政権運営を委ねなければならない」と強調した。
どの勢力も過半数を握れない「宙づり議会」では主要政策の遂行が妨げられ、欧州連合(EU)におけるフランスの存在感の後退にもつながる恐れが出てくる。
ルメール経済・財務相は「最も差し迫ったリスクは金融危機とフランス経済の衰退だ」と警鐘を鳴らした。