• FRB議長議会証言、イエレン財務長官の証言、フランス政治の行方
  • AI株の利益確定売り、サウジによる欧州債売りの可能性
Seattle Economy Ahead Of US Consumer Price Index Figures
Photographer: SeongJoon Cho/Bloomberg

注目されたパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言。金利見通しを大きく変えるには至らず、米国債市場の反応は限定的なものでした。市場の注目は11日に発表される6月の消費者物価指数(CPI)に移っていきそうです。食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月比で3.4%上昇と、5月と同じ伸びが予想されています。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

遅過ぎても早過ぎても

パウエルFRB議長は「さらなる良好なデータ」が見られれば、インフレ率が当局の2%目標に向けて低下しているという確信が強まると述べた。最近のデータはインフレ面での「さらなる緩やかな進展」を示していると語った。「政策引き締めの緩和が遅過ぎたり、少な過ぎたりした場合、経済活動と雇用を不当に弱める恐れがある」と述べた。一方で利下げが早過ぎたり、多過ぎたりした場合は、インフレ面での進展が失速または反転しかねないとも話した。質疑応答では、利下げのタイムラインを示すことは控えたが、雇用市場冷え込みの兆候が増えていると強調した。

大統領を擁護

イエレン米財務長官は下院金融サービス委員会での証言で、バイデン大統領の精神面について問われ、一緒に出席した長時間の会合で「極めて鋭敏」だったと述べ、大統領を擁護。中国の習近平国家主席や各国首脳との「数時間に及ぶ国際会議も多く含まれる」と続けた。イエレン氏によれば、大統領罷免の可能性に関する米国憲法修正25条の発動について、閣僚メンバーの間で議論が行われたことはない。

主導権争い

フランスの左派連合の一角を担う社会党は、マクロン大統領のグループの一部議員に歩み寄ろうとしている。過半数を制した勝者のいない選挙の後の政治的駆け引きが始まった。社会党の交渉責任者でフランス西部ナントの市長を務めるヨハンナ・ロラン氏は新たな多数派が合意できるテーマとして医師や地方警察官の不足を挙げ、議会がケース・バイ・ケースで法案に合意することが可能だと示唆した。

利益確定の時

人工知能(AI)関連銘柄の上昇に陰りは見えないが、歴史を振り返ると、今が最大手銘柄の利益を確定すべき時だと、シティグループのストラテジストらが指摘した。ドルー・ペティット氏率いるシティのチームによると、AI関連株に対するセンチメントは2019年以降で最も強く、これらの企業の大半のフリーキャッシュフローはアナリスト予想を上回ると見込まれている。このような状況は通常「ボラティリティーが大幅に上昇」することを示唆しているという。

脅しか否か

主要7カ国(G7)がおよそ3000億ドル(約48兆3000億円)に上るロシア凍結資産の押収を決定すれば、サウジアラビアは保有する欧州債券の一部を売却する可能性があると今年に入り内々に示唆していた。事情に詳しい関係者が明らかにした。サウジ財務省がG7の一部の国に対し、ウクライナ支援を意図したロシア凍結資産の押収案に異論を差し挟んできたという。サウジ財務省は発表文で、「そのような脅迫は行われていない」と否定した。

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