Steve Matthews
- 「インフレの仕事終わっていない」、労働市場の相当な軟化にも注目
- 保有資産圧縮で「かなりの前進を遂げた」-下院金融委員会で証言
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、インフレは鈍化しているとの認識を示しつつ、金融当局の目標である2%に向けて持続的に減速しているとの確信はまだ抱いていないと述べた。
議長は10日、下院金融委員会の公聴会で、インフレが後退しているという「確信はある程度ある」とした上で、「問題は、2%に向けて持続的に低下していると十分に確信しているかということだ。私にはまだそう言う用意はない」と語った。
パウエル氏は、最近の物価指標が「緩慢な進展継続」を示しており、「さらなる良好なデータ」が見られれば、インフレ率が当局の2%目標に向けて低下しているという確信が強まると発言。前日の上院銀行委員会の公聴会での証言内容を繰り返した。
パウエル議長、雇用市場のリスクを指摘-利下げ時期ヒント与えず
議長は利下げのタイミングについて強いシグナルを発することは避けているものの、当局の行動開始が早過ぎても遅過ぎても、リスクを抱えることになると強調している。
そうしたリスクは以前よりバランスが取れていると、パウエル議長は指摘。金融当局はインフレを鈍化させることになおコミットしていると同時に、失業に懸念を抱いてもいるという。
パウエル氏は「インフレに関する仕事は終わっていない。やるべきことはまだある」と言明。その上で、政策当局者らは「労働市場の相当な軟化」にも極めて注目していると付け加えた。
パウエル議長の議会証言は、米連邦公開市場委員会(FOMC)が7月30-31日の会合で利下げに動く可能性が低いことを示唆する。
バランスシート
パウエル議長はまた、FRBにはバランスシート縮小に関してやるべき仕事が残っているとの認識を示した。
パウエル氏は下院金融委員会の公聴会で「われわれはかなりの前進を遂げた。道のりはまだ長いと考えている」と述べた。
FRBはこれまでに保有資産を約1兆7000億ドル(約270兆円)減らしてきた。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)中に市場安定と景気支援を目的に米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を購入し、保有資産は大規模に膨らんだが、その放出は続いており、バランスシートはさらに著しく縮小すると当局者は想定している。
米金融当局は6月、国債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)ペースを減速させた。パウエル氏はこれについて、債券保有残高が低くなり過ぎないように取り組む上で一段と慎重な行動が可能になるとの見方を示した。準備預金の不足が短期借り入れコストの急上昇を招いた2019年の事態再来は避けたいと、当局者らは考えている。
「ペースを少しゆっくりにした方が、実際にはもっと先に進めるかもしれない」とパウエル氏は話した。
原題:Powell Not Prepared ‘Yet’ to Say He’s Confident About Inflation(抜粋)