Rita Nazareth

  • 米国債は小幅安、ドルはまちまち-今週はPCE価格指数など発表
  • NY原油は続落、金相場は小幅安-バイデン氏撤退の影響見極め

22日の米株式相場は反発。バイデン大統領の選挙戦撤退を消化し、ハイテク企業の決算シーズンに注目が集まる中で、買いが優勢になった。S&P500種株価指数は先週、週間ベースで4月以来の大幅安だった。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数5564.4159.411.08%
ダウ工業株30種平均40415.44127.910.32%
ナスダック総合指数18007.57280.631.58%

  ウォール街の一部では夏季の調整を懸念する声も上がるなど、最近の不振にもかかわらず、ブルームバーグ「マーケッツ・ライブ(MLIV)」調査の回答者は、決算でS&P500種が再び上向くと予想している。アンケートの回答者463人のうち3分の2近くが、企業収益が米国株を押し上げるとの見通しを示した。23日にはテスラとアルファベットの決算を控えている。

S&P500種、好決算が下落に歯止めかける可能性-MLIV調査

  高水準のバリュエーションと季節的な弱さから下落が警戒されているが、政治的な不透明感もくすぶる。しかし、バイデン氏の撤退とハリス副大統領を大統領候補として支持するという決定に対する市場の反応は、今のところ鈍く、ドルと国債は小動きとなっている。

  セブンス・リポートのトム・エッセイ氏は「今回の政治的混乱が相場の方向性を大きく変えることはないはずだ。S&P500種の最終的な方向性は、依然として経済成長によって決まるだろう」と述べた。

  S&P500種は6月上旬以来の大幅高。ナスダック100指数は1.5%高。

  ブックレポートのピーター・ブックバー氏は、選挙でどちらが勝とうと、債務と赤字は急増し続けると指摘。「トランプ氏が勝てば、2025年に期限を迎える減税は完全に延長されるだろうが、関税の引き上げや保護主義の強化、ドル安が予想される。ハリス氏が勝てば、トランプ減税の一部は延長されず、関税は一部にとどまるだろうが、保護主義の多くが残り、ドル安が進む可能性がある」と述べた。さらに、「選挙が終わるまで、インフレや業績、経済、金融当局の動向によって取引されるだろう」とした。

  ブルームバーグ・インテリジェンスのデータによると、1928年以来、S&P500種は選挙年の第3四半期に平均約5%上昇し、ほぼ3分の2の期間でプラスのリターンを記録している。

  ブラックロック・インベストメント・インスティテュートのストラテジストは、S&P500種株価指数が先週に週間ベースで3カ月ぶりの大幅安を記録したことを受け、米国株への確信を改めて示している。ウェイ・リー氏率いる同社のチームは「下げは株に参入する好機だとみている」と指摘。小型株上昇の 「目先のノイズ 」はさておき、大手ハイテク企業は好決算を市場にもたらし、リターンをけん引し続けるとの見通しを示した。

  米国債相場は小幅安(利回りは小幅上昇)。今週は、米金融当局がインフレ目標の基準とする個人消費支出(PCE)価格指数など経済指標の発表が控えている。9月に利下げが実施されるとの観測から、7月は短期債が買われ、長期債との金利差が縮小している。

国債直近値前営業日比(BP)変化率
米30年債利回り4.47%2.50.57%
米10年債利回り4.25%1.40.32%
米2年債利回り4.52%0.60.14%
  米東部時間16時51分

  外国為替市場でドルはまちまち。資源国通貨が軟調となった一方、円は堅調。対ドルの円相場は日欧の取引時間帯に1ドル=156円29銭まで上昇したが、ニューヨーク時間に入ると、おおむね157円台前半で伸び悩んだ。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1255.25-1.07-0.09%
ドル/円¥157.07-¥0.41-0.26%
ユーロ/ドル$1.0887$0.00050.05%
  米東部時間16時51分

  ニューヨーク原油先物相場は続落。バイデン氏の大統領選撤退が市場にどう影響し得るのか見極める動きとなった。

  トレンドフォロー型の商品投資顧問業者(CTA)による売りで下げ足が速まったと、EAクオンツ・アナリティクスは分析した。

  再選を目指さないというバイデン氏の決定を受けて、原油アナリストはトランプ氏の勝利を織り込みつつあると、一部のトレーダーは指摘した。トランプ氏は米原油生産の拡大を推し進める方針で、長期的には原油価格を下押しする可能性がある。

Oil Extends Decline | WTI futures fall to five week lows
WTI先物9月限出所:NYMEX

  ただ、プロンプトスプレッド(当限月と来限月の価格差)は1.53ドルのバックワーデーション(逆ざや)となっており、需要が短期的に供給を上回っていることが示唆される。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物8月限は、前営業日比35セント(0.4%)安の1バレル=79.78ドルで終了。8月限の取引は22日に終了する。9月限は0.3%安の78.40ドルで終え、5週間ぶり安値を付けた。ロンドンICEの北海ブレント9月限は23セント(0.3%)下げて82.40ドルで引けた。

  金相場は小幅安。バイデン氏が再選を目指さないとの決断を下したことや、それがトランプ氏のホワイトハウス返り咲きの可能性にどう影響するのかが意識された。

  スポット相場は上げを消す展開となった。バイデン氏はハリス氏を大統領候補として支持したが、ハリス氏は来月の民主党全国大会で正式な指名を獲得する必要がある。

  TDセキュリティーズの商品ストラテジスト、ダニエル・ガリ氏は、新たな不確実性が安全逃避先としての金の妙味を高める一方、トランプ・トレードの反転は一段の売りを誘発する可能性があるとリポートで指摘した。

  市場ではまた、アジアで買い疲れの兆候が見られることも意識された。アジアは今年前半における金上昇をけん引してきた。上海先物取引所の金が昨年終盤からロンドンの取引所に対して維持していたプレミアムは、ディスカウントに転じており、中国での需要が減少しつつあることを示唆している。

  上海先物取引所での動向も踏まえると、「金には下方向の窓が開いている」ことが示唆されるとガリ氏は記した。

  金スポットは年初から15%余り上昇し、先週には最高値を更新していた。

  金スポット相場はニューヨーク時間午後2時11分現在、前週末比7.38ドル(0.3%)安の1オンス=2393.45ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は、4.70ドル(0.2%)下落し2442.10ドルで引けた。

原題:Dip Buyers Wade Back In to Drive Wall Street Gains: Markets Wrap(抜粋)

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