Rita Nazareth
- Ｓ＆Ｐ500種は８日続伸でストップ、エヌビディアなどハイテク安い
- ユーロとポンドは対ドルで年初来高値、米国債はカナダ国債高が影響
20日の米株式相場は反落。Ｓ＆Ｐ500種株価指数は前日まで８営業日続伸し、最高値に迫っていたが、この日は朝方に上昇した後はほぼマイナス圏での推移となった。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| Ｓ＆Ｐ500種株価指数 | 5597.12 | -11.13 | -0.20% |
| ダウ工業株30種平均 | 40834.97 | -61.56 | -0.15% |
| ナスダック総合指数 | 17816.94 | -59.83 | -0.33% |
Ｓ＆Ｐ500種は８営業日で８％近く上昇と、今月初旬のパニック的な売りから急速に回復してきた。この日は5600を下回って引けた。
スレートストーン・ウェルスのケニー・ポルカリ氏は、今の株式市場は「モメンタムトレーダーが主導している」と指摘。「月末が近づくにつれ、売買高は減少傾向にある。その結果、動きが増幅されているし、今後も増幅されるだろう。最近の相場上昇はその証拠だと考える」と述べた。
ミラー・タバクのマット・メイリー氏は、相場が１日か２日、小休止するのは健全なことだろうとし、「直線的に動く市場はない」と述べた。
この日は大型ハイテク株が総じて売られた。エヌビディアは前日までの６営業日で約25％上昇していたが反落した。バンク・オブ・アメリカ（ＢｏｆＡ）も下落。著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが、保有するＢｏｆＡ株を追加売却した。通期の業績見通しを引き下げたロウズも安い。
一方、ネットフリックスは約３年ぶりに上場来高値を更新。広告の先行販売契約が前年比で150％余り増加したことを明らかにした。パロアルト・ネットワークスも上昇。強気な業績見通しや自社株買い計画の拡大が好感された。
ジャニー・モンゴメリー・スコットのダン・ワントロブスキ氏は、短期的には今の株式相場の強さが続くとみているとした上で、より大きい可能性のある別の調整波が８－10月に到来することに引き続き「厳重警戒」していると発言。
「当社の見解では、チャートやトレーダーのポジショニング、センチメントは全て、現時点で非常にもろさを抱えている。『ブルトラップ』が今後起きる気がするが、われわれが間違っていることを望む」と話した。
ニューヨーク外国為替市場では、ドル指数が３営業日続落し、３月以来の安値となった。市場は今週後半開催のカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム（ジャクソンホール会合）から、米利下げのタイミングと下げ幅に関して一段の手掛かりを得ようとしている。
円は対ドルで一時0.95％上昇し、１ドル＝145円20銭を付けた。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1229.99 | -2.63 | -0.21% |
| ドル／円 | ¥145.28 | -¥1.31 | -0.89% |
| ユーロ／ドル | $1.1130 | $0.0045 | 0.41% |
| 米東部時間 | 16時56分 |
ドルが下落したことで、ユーロとポンドは対ドルの年初来高値をそれぞれ更新した。ユーロは一時0.4％上昇して１ユーロ＝1.1130ドルと、昨年12月28日以来の高値。ポンドは対ドルで一時0.5％近く上昇し、１ポンド＝1.3052ドルと昨年７月以来の高値を付けた。
ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループのグローバル為替責任者、ブラッド・ベクテル氏は「米国とその他の国・地域の実質金利差が、徐々に縮小している」と指摘。「パウエル連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）議長は選択肢を保持するために50ベーシスポイント（ｂｐ、１ｂｐ＝0.01％）利下げの可能性を残す。一方で、緊急事態や極端な状況に関する話は避けようとするだろう」と述べた。
バークレイズの外為ストラテジスト、スカイラー・モンゴメリー・コニング氏は「ジャクソンホール会合でハト派的な姿勢が示され得ることがドルへの重しとなっており、外為市場では引き続きそれが材料となっている」と指摘。米雇用統計の基準改定で「雇用者数が大幅に下方修正されるとの観測が」その流れを助長したと分析した。
ジャクソンホール講演に影響か－米雇用者数、基準改定で100万人減も
カナダ・ドルは他の主要通貨の大半に対して軟調。インフレ率が過去３年余りで最も低い伸びとなり、カナダ銀行（中央銀行）が９月に、３会合連続で利下げを実施することがほぼ確実になった。
カナダＣＰＩ鈍化、９月利下げほぼ確実に－国債利回り低下し通貨下落
米国債相場は上昇（利回り低下）。カナダの７月の消費者物価指数（ＣＰＩ）が2021年３月以来の低い伸びとなったことを受け、カナダ国債が買われた流れが波及した。年限が短めの米国債利回りが特に大きく低下した。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(BP) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 4.06% | -6.2 | -1.49% |
| 米10年債利回り | 3.81% | -6.4 | -1.66% |
| 米２年債利回り | 3.99% | -8.0 | -1.97% |
| 米東部時間 | 16時56分 |
ジャクソンホール会合でパウエル議長が講演を行う23日を前に、21日には米労働統計局が雇用者数の伸びに関して基準改定値を示す。
ゴールドマン・サックス・グループとウェルズ・ファーゴのエコノミストらは、３月までの年間雇用者数の伸びが、現在の推定から少なくとも60万人（月約５万人）下向き改定されると見込む。
ＪＰモルガン・チェースの予測では約36万人減るが、ゴールドマンによれば、100万人規模の改定もあり得るとしており、市場関係者の注目を集めそうだ。
ニューヨーク原油先物は続落。株高の勢いが途絶えたことに加え、紛争が続くパレスチナ自治区ガザでの停戦の可能性や世界的な需要見通しへの懸念が重しとなった。
ブリンケン米国務長官は19日、イスラエルが停戦案を受け入れたとし、次のステップはイスラム組織ハマスが同意することだと発言。これを受けてハマスは20日、紛争終結に向けた交渉をハマスが行き詰まらせているとの米国側の見解を否定し、イスラエルとの合意を成立させることに「真剣」だと主張した。
ハマスは「真剣」な姿勢、イスラエルとのガザ停戦合意に向けて (1)
中国経済の見通しが悪化していることも、相場の足かせとなっている。この日は中国が不動産セクターに対して新たな救済策を検討していることが明らかになった。
中国、地方政府に売れ残り住宅購入で特別債発行容認も－関係者 (1)
ニューヨーク商業取引所（ＮＹＭＥＸ）で、20日に期限を迎えたウェスト・テキサス・インターミディエート（ＷＴＩ）先物９月限は前日比33セント（0.4％）安い１バレル＝74.04ドルで終了。中心限月の10月限は49セント安の73.17ドルで終えた。 ロンドンＩＣＥの北海ブレント10月限は46セント下げて77.20ドル。
金スポット価格は再び最高値を更新。市場は利下げの手掛かりを求め、ジャクソンホール会合でのパウエルＦＲＢ議長の講演に注目している。
金スポット価格はこの日、１オンス＝2531.75ドルまで上昇し、最高値を更新。これで年初来の上昇率は22％余りとなった。その後は上げを縮めた。
サクソバンクの商品戦略責任者オレ・ハンセン氏は「ジャクソンホールでのパウエル議長講演を前に、金は記録的な上昇を続けている」と指摘。「現在のポジティブなモメンタムと売り意欲の乏しさが上昇の主な原動力となっており、基本的に上値を伸ばしやすい環境になっている」と述べた。
コメルツ銀行のコモディティー（商品）アナリスト、カーステン・フリッチュ氏はリポートで「米金融当局による利下げや、目標をなお上回る米インフレ率、ドル下落を背景に、金価格は2025年前半も上昇を続けると予想している」と指摘。とはいえ、「当面は、金がここから一段高になるとはみていない」と続けた。
ＵＢＳグローバル・ウェルス・マネジメントのウェイン・ゴードン氏も金の見通しについて強気で、価格は来年半ばごろまでに１オンス＝2700ドルに向かうだろうと述べた。
もっとも、金価格の値上がりは中国需要の足かせとなりつつあるかもしれない。20日に公表された税関データによると、中国の７月の金輸入量は前月比24％減の44.6トンと、ここ２年余りで最低となった。
金スポット価格はニューヨーク時間午後２時35分現在、前日比10.71ドル高の１オンス＝2514.99ドル。ニューヨーク商品取引所（ＣＯＭＥＸ）の金先物12月限は9.30ドル（0.4％）高の2550.60ドルで終えた。
原題：Stocks Halt Big Rally Driven by ‘Momentum Guys’: Markets Wrap（抜粋）
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