- 24年3月までの1年間の米雇用者数の伸び、81万8000人下方修正へ
- FRBが利下げで後れを取っているとの懸念強まる可能性も
2024年3月までの1年間の米雇用者数の伸びは、従来の発表値よりはるかに低いものだった可能性が高い。21日に発表された年次ベンチマーク(基準)改定の速報値で明らかになった。
米労働統計局が発表した年次ベンチマーク改定の速報値によれば、3月までの1年間の雇用者増は81万8000人下方修正されそうだ。1カ月当たりでは約6万8000人減となる。下方修正幅は2009年以来最大。
エコノミストはおおむね下方修正を予想、一部では最大100万人の下方修正との見方も出ていた。ベンチマーク改定の確報値は25年初めに発表される。
ベンチマーク改定の発表前の段階では、雇用者数は1年間に290万人増(月平均で24万2000人増)だった。今回の改定を受け、雇用者数の変化を均等に配分したと仮定した場合、1カ月当たり約17万4000人増のペースとなる。これは依然として健全な雇用増加ペースではあるが、新型コロナウイルス禍のピークからは鈍化している。
ベンチマーク改定は毎年行われるが、今年は特に、労働市場が当初のデータ発表より速いペースで冷え込んでいることを示唆するシグナルが出ていないかと、市場や米連邦準備制度理事会(FRB)ウォッチャーが注目していた。
今回の改定は、労働市場が当初の想定よりはるかに早い段階から減速していた可能性を示唆している。市場やエコノミストが雇用に対して懸念を強めたのは今月初めに7月の雇用統計が発表されてからだ。7月の統計は弱い雇用増加ペースと失業率の4カ月連続上昇で警報を鳴らした格好だが、新規失業保険申請件数や求人件数は、より緩やかな減速を示唆している。
データの発表を受け、FRBが利下げで後れを取っているとの懸念が強まりそうだ。
パウエルFRB議長は23日、ジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)で基調講演を行う。その講演を控えて発表された今回の改定は、パウエル議長が労働市場に関する最新の評価をまとめる上で一助となるだろう。インフレが新型コロナ禍のピークから鈍化していることから、FRB当局者はこのところ、2大責務のうちの雇用サイドに重点を移している。
業種別では、プロフェッショナル・ビジネスサービスが下方修正全体の半分近くを占めた。他にも娯楽・ホスピタリティー、製造業、小売りなども下方修正幅が大きかった。
原題:US Payrolls Marked Down by Most Since 2009 in Preliminary Data(抜粋)