▽茂木幹事長 総裁選 立候補を表明「増税ゼロの政策を推進」<NHK>2024年9月4日 16時41分

自民党の茂木幹事長は記者会見し「実行力のある安定した政権で『増税ゼロ』の政策推進を実行したい」と述べ、岸田総理大臣の後任を選ぶ自民党総裁選挙に立候補することを表明しました。茂木氏の総裁選挙への挑戦は初めてです。

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自民党の茂木幹事長は4日午後2時から東京都内で記者会見しました。

この中で茂木氏は「総裁選挙に立候補することを決意した。目標を掲げ、チームを束ね、結果を出す。これが目指す新政権の姿だ。実行力のある安定した政権で内外のさまざまな事態にしっかり対応する」と述べました。

重点政策の1つに経済政策

「年収アップを最優先目標に」
重点政策の1つに経済政策を掲げ「成長力と生産性を向上し、一人一人の所得、年収をアップさせることを政権の最優先の目標に掲げる」と述べました。

「増税ゼロの政策推進を実行」
その上で「増税ゼロの政策推進を実行する」と述べ、岸田政権のもとで決まった防衛力の抜本的強化のための増税と、少子化対策の強化のための支援金の保険料の追加負担それぞれ1兆円を停止する考えを示しました。

「3年以内に結果が出なければ責任を取る」
代わりとなる財源として、経済成長により見込まれる税収増やいわゆる外為特会など税外収入の増加などを挙げ「必ず結果を出し、3年以内に結果が出なければトップが、総理大臣が責任を取る」と強調しました。

そして「『増税ゼロ』の政策推進は、これまでの政策を否定するものではなく、国民の負担増への不安を解消しながら政策をさらに前に進めるものだ」と説明しました。

さらに「半年以内に30年にわたるデフレからの脱却宣言をできる状況にする」と述べました。

また、地方活性化をめぐり「活力ある地方をつくり、地域の雇用を創出する。『日本列島の再改造』『東京一極集中の是正』を進める」と強調しました。

「夫婦別姓は決める前に世論の醸成が大切」

「選択的夫婦別姓」については「国民の間にもさまざまな意見がある。『こうだ』と決める前にもう少し世論が醸成されることが大切ではないか」と述べました。

政治とカネの問題 幹事長としての責任は

一方、政治とカネの問題をめぐっては「まったく新しい自民党をつくっていく覚悟を示し政治改革と党改革を断行する」と述べ、党から議員に支給される「政策活動費」を廃止するとともに、政治資金パーティーの収益を課税対象とするための法改正に取り組む考えを示しました。

その上で、今回の問題について幹事長としての責任をどう考えるか問われたのに対し「反省の思いも強く持っており幹事長として政権を支えきれなかったという指摘があるなら謙虚に受け止めたい」と述べました。

旧茂木派の議員から支援を受けていることについては「これまで切磋琢磨し、信頼関係もある。同じグループでなくても支援してくれる議員も多く一緒に戦っていきたい」と述べました。

また、立候補を表明したことから幹事長としての職務権限を5日から総裁の岸田総理大臣に委ねることを明らかにしました。

茂木氏のこれまで

茂木敏充氏は衆議院栃木5区選出の当選10回で、68歳。

総裁選挙には初めての挑戦です。

東京大学を卒業したあと商社や新聞社、外資系コンサルタント会社での勤務を経て、1993年の衆議院選挙で初当選しました。

2003年、小泉内閣で当選3回で沖縄・北方担当大臣、科学技術担当大臣として初入閣しました。

安倍内閣では経済産業大臣や経済再生担当大臣、外務大臣を歴任したほか、党でも政務調査会長や選挙対策委員長を務めました。

経済再生担当大臣を務めた際にはアメリカのトランプ政権と日米貿易協定の交渉にあたり、トランプ氏から「タフ・ネゴシエーター」と称されました。

3年前(2021年)の衆議院選挙で甘利前幹事長が小選挙区で敗北し、辞任したのに伴い岸田総理大臣から後任の幹事長に起用されました。

岸田政権では岸田総理大臣、麻生副総裁と3年間で80回以上会談するなど3人が緊密に連携し「三頭政治」とも呼ばれました。

しかし、政治とカネの問題などで岸田総理大臣がみずから意思決定する場面が増え、関係の悪化が指摘されるようになりました。

一方、3年前の幹事長への就任と時期を同じくして「平成研究会」=茂木派の会長に就任しましたが、党の政治とカネの問題を受けて政治団体の解消を決め、衆参の国会議員40人規模のグループに改めています。

政治信条は「過去と自然は変えられないが、未来と社会は変えることができる」だとしていて、総理大臣に就任した際には、経済の生産性の向上や地方の活性化などを実現したいとしています。

党内でも屈指の政策通 ワインにもこだわり

親族に政治家はおらず、いわゆる世襲の議員ではありません。

霞が関の官僚が舌を巻くほどの記憶力の持ち主とされ、東京大学の入試に遅刻しながら合格したという逸話を持ちます。

党内でも屈指の政策通として知られる一方、「自身の能力が高いが故に部下への要求水準も高い」と話す関係者もいます。

「合理的な政治家」とも評され、選挙中は神社での必勝祈願は行わず、はちまきもつけません。

趣味はゴルフやドラマ鑑賞でワインにもこだわりがあります。

学生時代に好きだった科目は世界史で、憧れの職業は考古学者。海外で王の墓を探すことが目標だということです。

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