[東京 6日 ロイター] – 自民党総裁選に立候補する河野太郎デジタル担当相は6日、ロイターのインタビューに応じ、米バイデン政権が「国家安全保障上の懸念」を理由に日本製鉄(5401.T), opens new tabのUSスチール(X.N), opens new tab買収を阻止する可能性が指摘されていることについて、「米国の政治の先行きが本当に大丈夫なのかという懸念が同盟国の中にも生まれてくる」と述べた。
政治的な判断で買収が阻止された場合、自らが首相に就任した際にはホワイトハウスに問題提起する意向も示した。
河野氏は買収阻止に向けた米政府の動きについて「大変驚いている」とした上で、「米国は市場経済国家であり、日米は良き同盟国だ。買収に関して経済、安全保障上の脅威があるとは思わない」と述べた。
安全保障上の観点から買収を審査している対米外国投資委員会(CFIUS)は8月末に日鉄とUSスチールに書簡を送付し、米国内の鉄鋼生産能力削減につながるなどと伝達。両社は9月初めに回答し、USスチールの生産設備を維持、増強することなどを伝えた もっと見る 。
河野氏は、日鉄による買収が成立しなければUSスチールが鉄鋼メーカーとして存続可能なのか疑問だとした上で、「米国にとってその方が経済的な懸念になるはずだ」と指摘。首相として米議会や産業界にも働きかけると強調した。
この問題は日本以外の国と米国との関係にも影響をもたらす可能性があるとし、「米国が経済をどう考えるのかしっかり意見交換する必要がある。共通の価値観を持つ国全体の課題として米国とどう向き合っていくのかという話をする必要があると思う」と話した。
(豊田祐基子、Tim Kelly 編集:久保信博)