By 竹本能文

8月実質賃金3カ月ぶりマイナス、物価上昇加速とボーナス伸び縮小で=毎月勤労統計

[東京 8日 ロイター] – 厚生労働省が8日に公表した8月の毎月勤労統計(速報)によると、実質賃金は前年比0.6%減と3カ月ぶりにマイナスに転じた。賃上げは続いているが、ボーナスの前年比が7月より縮小したうえ、食品値上げで物価上昇ペースが加速したことが響いた。

<現金給与総額32カ月連続プラス>

労働者1人当たりの平均名目賃金を示す現金給与総額は前年比3.0%増の29万6588円となり32カ月連続でプラスとなった。ただ伸び率は7月の3.4%から縮小した。 ボーナスなど特別に支払われた給与の前年比が7月の6.6%増から2.7%増に縮小したのが響いた。

消費者物価指数(持家の帰属家賃除く総合)の前年比は、生鮮食品の値上げなどにより3.5%上昇と7月の3.2%から加速した。

一方、所定内給与は前年比3.0%増(7月は同2.4%増)の26万4038円と改善した。所定外給与も、同2.6%増(7月0.2%減)の1万9599円と2カ月ぶりにプラスとなった。

日銀などが重視しているとされる共通事業所ベースの所定内給与は前年比2.9%増で7月と横ばいだった。

毎月勤労統計で用いられる消費者物価指数は、2020年基準の持ち家の帰属家賃を除くベース。食品などの値上げにより昨年1月に5.1%まで上昇、その後ほぼ3%台で推移している。