Mathieu Dion
- 想定上回るシナジー効果見込めない限り大きな引き上げないとの見方
- クシュタールは9月、7&iHDに2回目の買収案を提示-関係者
カナダのコンビニエンスストア大手、アリマンタシォン・クシュタールがセブン&アイ・ホールディングスに新たに提示したとされる総額7兆円の買収提示額について、引き上げる余地はまだあるが、引き上げたとしても小幅にとどまる見込みだと、アナリストはみている。
協議開始を目指すクシュタールは先月、7&iHDに対し1株18.19ドル(約2700円)とする2回目の買収提案を行ったことが、関係者への取材で分かっている。ただ実質的な交渉は行われていないという。
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新たな提示額はクシュタールによる先の提案を約20%上回り、同社が買収提案していることが判明する前の8月半ばの7&iHD株価を約53%上回る水準だ。
TDカウエンのアナリスト、マイケル・ファン・アールスト氏は投資家向けリポートで、クシュタールは今回の提案で、潜在的なシナジー効果や事業売却を考慮した上で、7&iHDをEBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)の約7倍と評価していると指摘。これはクシュタールが通常、買収で支払う金額の上限に近いと説明した。
「過去のデータを見ると、シナジー効果考慮後で7倍を超えたことはないため、7&iHDのデータアクセスが認められ、われわれの想定を上回るシナジー効果が見込めない限り、クシュタールがはるかに高い額を示すとは考えにくい」と記した。
クシュタールは2回目の提案について公式には言及していないが、先月には、より大きな価値を見いだすとともに「友好的な協議を進めるために、適切な秘密保持契約(NDA)を締結する用意と意欲がある」と表明している。
カナダの調査会社テッブス・キャピタルのトップを務めるタイラー・テッブス氏は顧客向けリポートで、10%程度の「ちょっとしたキス」が必要になっても驚かないと指摘した。その場合、1株20ドル程度になる計算だ。
同氏によれば、クシュタールがさらに高い買収額を提示するかどうかは、7&iHDから引き出せるコストと資産売却で得られる資金の試算に左右される。クシュタールの主な関心は、「セブン-イレブン」を含め多数のコンビニ店舗を取得することだが、7&iHDにはスーパーや銀行など他の資産もある。
クシュタールの株価は9日のトロント市場で0.9%安の73.79カナダ・ドルで終了した。
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原題:Couche-Tard Can’t Boost Seven & I Bid Much Higher, Analysts Say(抜粋)