中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の常務委員会は4日、地方政府が抱える簿外債務の一部を公式の会計に移転する案を検討した。藍仏安財政相が予告していた措置で、財政負担の軽減を目的としている。

  国営新華社通信によると、全人代常務委員会は地方政府の債務上限を引き上げ、いわゆる「隠れ債務」のスワップを行う計画について協議した。

  世界第2位の経済大国である中国を再活性化させる、新たな景気刺激策を見極めようと、投資家は11月4-8日に開催される全人代常務委員会を注視している。エコノミストらは地方政府の隠れ債務を数年に渡り置き換えるプログラムを中国政府が承認すると予想しており、その規模は6兆-10兆元(約128-214兆円)になるとみている。

  藍財政相は先月、地方政府の債務リスクに対処するため、ここ数年で最大規模の取り組みを近く開始すると予告していた。国際通貨基金(IMF)は、昨年時点で約60兆元の地方政府の簿外債務があると推定している。

  ブルームバーグ・ニュースは10月、中国が地方政府に対し、簿外債務の借り換えを目的に2027年末までに最大6兆元の債券発行を許可することを検討していると報じた。こうした借り入れのほとんどは地方政府の関連事業体によるもので、地方政府に代わって借り入れを行い、インフラ投資の資金調達を行っている。

  債務スワップは中央政府の追加借り入れや消費刺激策を求める市場の期待に応えるものではないが、地方政府が公務員の給与や建設プロジェクトなど、さまざまなニーズに充てる資金の確保にはなる。世界金融危機以降、地方政府はインフラプロジェクトの構築や都市化、住宅需要の促進など経済成長を後押しする上で重要な役割を果たしてきた。

  新華社の報道は常務委員会での提案の詳細を明らかにしておらず、その他の財政措置が議論されたかどうかにも言及していない。

原題:China Reviews Plan to Refinance Local Governments’ Hidden Debt(抜粋)