トランプ次期米大統領による経済政策への期待が「アニマルスピリッツ」を解き放ちつつあると、ベテランストラテジストのエド・ヤルデニ氏は指摘。S&P500種株価指数は2029年末までに1万の大台に到達するだろうと述べた。

  同氏の予測は2029年末までに66%の上昇を意味し、極端なまでに強気な見方だ。米選挙を終えて、ウォール街で株式市場への楽観が強まっていることがあらためて示された。ヤルデニ氏のS&P500種目標水準は24年が6100、25年が7000、26年が8000に引き上げられた。

  「減税と規制緩和を促進するビジネス志向の政権に交代することも、株式投資家の心を躍らせている」と同氏は11日付リポートで述べた。

  トランプ氏の勝利を受けて先週の株式相場は力強く上昇し、S&P500種の週間上昇率は今年最大の4.7%となった。見通しを上方修正したストラテジストは他にもいる。エバコアISIのジュリアン・エマニュエル氏は先週、強気相場は「まだ始まったばかり」だと述べた。

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Yardeni Forecasts S&P 500 Reaching 10,000
S&P500種株価指数とヤルデニ氏の予測出所:ヤルデニ・リサーチ、ブルームバーグ

  ヤルデニ氏の予測は、法人税率引き下げをはじめトランプ氏の経済政策が米企業の増益につながるとの見方に基づく。ウクライナで続くロシアの戦争と中東の紛争が解決すれば、株式相場の上昇基調はさらに勢いを増すだろうとリポートで述べた。

  「29年末までに弱気相場が再来するとは予想していないが、その過程で何度か調整が起こるのは間違いないだろう」とヤルデニ氏。過度に強気なセンチメントは心配だとも付け加えた。

  それでも消費者と企業が楽観を強め、16年にトランプ氏が当選した当時と同じパターンをたどる可能性は十分以上にあるという。「アニマルスピリッツは復活した」と同氏は述べた。

原題:S&P 500 Will Soar 66% to 10,000 By End of Decade, Yardeni Says(抜粋)