兵庫県知事選挙の開票結果です。
▽斎藤元彦(無所属・前)111万3911票 当選
▽稲村和美(無所属・新)97万6637票
▽清水貴之(無所属・新)25万8388票
▽大澤芳清(無所属・新)7万3862票
▽立花孝志(無所属・新)1万9180票
▽福本繁幸(無所属・新)1万2721票
▽木島洋嗣(無所属・新)9114票
失職の斎藤前知事が2回目の当選果たす
前知事の斎藤氏が、前兵庫県尼崎市長の稲村氏らを抑え、2回目の当選を果たしました。
斎藤氏は47歳。総務省の理事官や大阪府の財政課長などを経て、3年前の知事選挙に自民党と日本維新の会の推薦を受けて立候補し、初当選しました。
その後パワハラの疑いなどで告発された問題で、ことし9月、県議会から不信任を議決され、失職して今回の選挙に臨みました。
選挙戦では県の行財政改革を進めてきた実績を強調し、若者への投資や物価高対策などの継続を訴えました。
またSNSでの発信にも力を入れました。
投票率 前回選挙を上回る
投票率は55.65%で前回・3年前の選挙に比べて14.55ポイント高くなりました。
斎藤氏「応援 SNS通じて広がる 指摘や批判も真摯に受け止め」
斎藤氏は「皆さんの力が結集して選挙戦を勝ち抜くことができ、大きな支援に感謝を申し上げる。もともとSNSは、あまり好きではなかったが、応援してくれる方がSNSを通じて広がるという、プラスの面をすごく感じた」と述べました。
その上で「改めて今回の文書問題で、県民の皆さんに県政に対する不安を与えたことについて大変申し訳なく思う。選挙戦では、『もっと改革をして県政を前に進めてほしい』という期待を多くいただいた。指摘や批判も真摯に受け止め、県職員や県議会、そして市や町の首長の皆さんとも信頼関係をもう一度構築して県政を前に進めていきたい」と述べました。
稲村氏「何と向かい合っているのか 違和感があったのは事実」
稲村氏は「力添えをいただいた皆さんに心から感謝とおわびを申し上げる。候補者の資質や政策を問う選挙というよりは、何を信じるかが大きなテーマで、斎藤候補と争ったというより、何が争点になったのか、何と向かい合っているのか、違和感があったのは事実だ。立場にかかわらずここからがスタートだと受け止め、兵庫県政が冷静に、正確な情報と建設的な議論に基づいて推進されることを心から願っている」と述べました。
清水氏「SNS駆使 新しい今の時代の選挙戦」
清水氏は「兵庫県政が混乱し、刷新していきたい、なんとか兵庫県をよい形で前に進めていきたいという思いを一生懸命伝えたつもりだが、力及ばず、当選には及ばなかった。SNSを駆使した選挙戦は、新しい今の時代の選挙戦だと思うが、私自身、うまく対応できていなかったと感じる。斎藤さんには、選挙が終わればノーサイドという気持ちでぜひ兵庫県をすばらしい形で前に進めてほしい」と述べました。
【解説】勝因と今後の県政運営は?
神戸局 桐山渉記者の解説です。
Q.斎藤氏 勝利の要因は?
A.斎藤氏自身も話しているとおり、SNSが再選の原動力になったと思います。
NHKの出口調査で、投票する際に何を最も参考にしたか聞いたのですが、「SNSや動画サイト」が30%と、テレビや新聞よりも多くなり、このうちの70%以上が斎藤氏に投票したと答えています。
選挙期間中、SNSでは「斎藤さんは既得権益層に改革を阻まれた被害者だ」という意見が急速に広がって、取材をしていても「SNSを見たら斎藤さんのイメージが変わった」などといった声が多く聞かれました。
また出口調査では投票で重視したこととして「政策、公約」や「改革姿勢」といった回答が「県政運営の安定」よりも上位に来ていて、いずれも半数以上が斎藤氏に投票したとしています。
対立候補が訴えた「県政の立て直し」が有権者に強く響かなかったとも言えそうです。
Q.斎藤氏の今後の県政運営は?
A.選挙で勝利したとは言え、県政の混乱がただちにおさまるかどうか、現時点では見通せません。
告発文書をめぐって、事実関係の調査を進めている県議会の百条委員会は18日、さっそく議員が今後の対応を協議する方針です。
委員を務めるある県議は「百条委員会で追及の手をゆるめるつもりはない」と話しています。
また、選挙戦の終盤には、県内の29市のうち22の市長が「県政のこれ以上の混乱は決して許されない」などとして、稲村氏の支持を表明しました。
民意は斎藤氏を選んだわけですが、県政の安定に向けては当面、予断を許さない状況が続くことになりそうです。
過去最多の7人が立候補
兵庫県知事選挙に立候補したのは、届け出順にいずれも無所属で、
▼前参議院議員の清水貴之氏(50)
▼前兵庫県尼崎市長の稲村和美氏(52)
▼前知事の斎藤元彦氏(47)
▼共産党が推薦する医師の大澤芳清氏(61)
▼レコード会社社長の福本繁幸氏(58)
▼政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏(57)
▼ニュース分析会社社長の木島洋嗣氏(49)
以上の7人です。
今回の選挙は、前知事がパワハラの疑いなどで告発された問題で県議会から不信任を議決され失職したことに伴うもので、立候補者数は過去最多となりました。
選挙戦では、一連の問題を受けた県政の立て直しや、地域経済の活性化策、子育て支援のあり方などをめぐって論戦が交わされました。
期日前投票は過去最多に 前回より34万人増
今回の兵庫県知事選挙で期日前投票を行った有権者は94万4000人余りで、過去最多になりました。有権者全体の20.96%でした。前回のおよそ1.57倍となります。
これについて県選挙管理委員会は「知事選挙が行われた経緯や、過去最多の7人が立候補して激しい選挙戦を繰り広げたことなどから、県民の関心の高い選挙となったことがうかがえる」としています。