20日の米株式市場でS&P500種株価指数はほぼ横ばい。半導体大手エヌビディアの決算発表を控えて投資家が神経質になる中、市場ではウクライナとロシアを巡る緊張の高まりも意識された。ドルは上昇。暗号資産(仮想通貨)ビットコインは2日連続で過去最高値を更新した。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
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S&P500種株価指数 | 5917.11 | 0.13 | 0.00% |
ダウ工業株30種平均 | 43408.47 | 139.53 | 0.32% |
ナスダック総合指数 | 18966.14 | -21.33 | -0.11% |
ウクライナが英国製ミサイルをロシア領内に発射したと伝わると、株式市場では売りが強まり、S&P500種株価指数は一時1%下げた。ただ、その後は下げを埋めた。
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株式投資家の関心は、引け後にエヌビディアが発表する8-10月(第3四半期)決算に集中。ブルームバーグがまとめたデータによると、決算発表翌日のエヌビディアの株価は上下いずれの方向にも約8%動くことが、オプションで示唆されている。時価総額にして約3000億ドル(約46兆7000億円)の変動が見込まれていることになり、これを上回る時価総額を持つ企業はS&P500指数の構成銘柄のうち25社しかない。
サラシン・アンド・パートナーズのチーフエコノミスト、スビタ・サブラマニアム氏は「個別企業の決算で市場全体が動かされていること自体、ある種の脆弱(ぜいじゃく)性を示している」と指摘。「予想を上回れば十分なのか。大幅に上回ることが必要なのか。最高経営責任者(CEO)のあらゆるコメントが注目されている」と語った。
個別銘柄では、通期業績見通しを下方修正したターゲットが大幅安。同社の経営陣は、米消費者が必需品以外への支出を減らしていると述べた。
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市場ではトランプ次期米政権の閣僚人事、とりわけ財務長官の人選にも注目が集まっている。事情に詳しい複数の関係者によると、トランプ氏は候補とされる連邦準備制度理事会(FRB)元理事のケビン・ウォーシュ氏、アポロ・グローバル・マネジメントのマーク・ローワン最高経営責任者(CEO)とそれぞれ面談する。
レイモンド・ジェームズの政策アナリスト、エド・ミルズ氏は「財務長官の座を巡るレースについては、実際に誰になるのかを正確に知りたい。税制や債務上限問題など全てに関係しているからだ」とブルームバーグ・テレビジョンで発言。「その人物が米金融当局とどんな関係にあるのかも正確に知る必要がある。なぜなら、金融政策はこれら全てにすぐに影響を及ぼすからだ」と語った。
国債
米国債相場は下落(利回りは上昇)。ウクライナがロシアに英国製ミサイルを発射したと伝わると安全資産である米国債を買う動きが優勢となる場面もあったが、午後に行われた20年債入札で低調な需要が示されると再び売りが優勢となった。同入札では、このところの利回り上昇も投資家を引きつけるには十分ではないことが示唆された。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
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米30年債利回り | 4.60% | 1.9 | 0.40% |
米10年債利回り | 4.41% | 1.8 | 0.40% |
米2年債利回り | 4.32% | 3.8 | 0.90% |
米東部時間 | 16時05分 |
160億ドル規模の20年債入札は、最高落札利回りが入札前取引(WI)水準を3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回り、需要の弱さを示す結果となった。
カーバチャー・セキュリティーズの債券部門責任者、トム・ディ・ガロマ氏は「信じられないほどの弱さだ。需要は極めて弱かった」と述べた。
クレジットサイツの米投資適格債・マクロ戦略責任者、ザッカリー・グリフィス氏は「次期米政権下での財政赤字拡大とインフレ高止まりの可能性が意識され、こうした利回り水準でも長期債の保有が敬遠されているのだろう」と語った。
為替
外国為替市場ではドルが4営業日ぶりに上昇。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時0.6%高となった。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
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ブルームバーグ・ドル指数 | 1283.95 | 5.51 | 0.43% |
ドル/円 | ¥155.50 | ¥0.84 | 0.54% |
ユーロ/ドル | $1.0539 | -$0.0057 | -0.54% |
米東部時間 | 16時05分 |
米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事はこの日、インフレ抑制の進展が滞っているとして、さらなる利下げには慎重な姿勢で臨みたいとの認識を示した。
ボウマン氏は9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で、より小幅な引き下げを求め、50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の大幅利下げ決定に反対。FRB理事が反対票を投じるのは約20年ぶりだった。今月の会合では、25bp利下げに賛成票を投じている。
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クックFRB理事はインフレ面での進展と堅調な労働市場を指摘し、FOMCは時間をかけて政策金利を中立姿勢に近づけていくのが適切になりそうだと述べた。FRBが担う雇用とインフレの両責務について、リスクは「おおむね均衡している」とクック理事は指摘。金利の方向性は下向きだが、引き下げの「幅とタイミング」はこれから出てくるデータと経済の見通し次第だと述べた。
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円は下げ、1ドル=155円台前半で推移。早い時間帯には一時155円89銭まで売られる場面もあったが、地政学リスクの高まりを受けた逃避需要でやや下げ渋った。
原油
ニューヨーク原油相場は下落。一段と激化したウクライナでの戦争を背景に前日までの2営業日は上昇したが、強気派を失望させた米在庫統計で帳消しになった。
英国製の長距離ミサイルが初めてウクライナからロシア領内に発射されたことを受け、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は一時上昇。クレムリンは核ドクトリンを改定し、核兵器の使用条件を広げた。米エネルギー情報局(EIA)が先週の在庫が54万5000バレル増加したと発表すると、原油相場の上昇は失速した。ガソリン在庫は205万バレル増加した。
地政学的な展開は依然顕著で、ロシアはトランプ次期米大統領とウクライナ停戦の可能性を協議する用意があると表明。それでも戦況に変わりはなく、ウクライナとロシアの両方が交渉材料を強化しようと、全ての前線で戦闘は激しさを増している。
WTI12月限がこの日最終取引を迎えたことも、相場を不安定にした。
原油価格はこれまで、世界市場を脅かす2つの戦争と来年の需給が供給超過になる可能性が発信する強弱混在のシグナルに揺さぶられている。それでも長期化している地政学的なリスクプレミアムは数カ月前から解消されつつあり、北海ブレント原油のインプライドボラティリティーは10月中旬以降、低下傾向にある。
中東情勢に目を向けると、米国はバイデン大統領の任期中にレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラとイスラエルの停戦を実現しようと取り組みを強化している。イランは核兵器級に近い濃度の濃縮ウラン生産を停止することに同意した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物1月限は、前日比0.7%安の1バレル=68.75ドルで終了。この日最終取引の12月限は68.87ドルで引けた。ロンドンICEの北海ブレント1月限は0.7%下げて72.81ドル。
金
ニューヨーク金相場は3日続伸。トレーダーらはウクライナでの戦争について最新の情報を消化しながら、安全な逃避先としての金に買いを入れた。
西側政府当局者によれば、ウクライナ初めて英国製長距離ミサイルをロシア領内に向けて発射。ロシアの侵攻から約1000日が経過し、戦争は新たな段階に入った。一方のロシアはトランプ次期米大統領と停戦の可能性を協議する用意があると表明。西側当局者らの受け止め方は懐疑的だ。
今週に入り堅調に推移していた金は、地政学的な緊張でさらに値上がりした。プーチン大統領はロシアの核ドクトリンを改定、核兵器使用の条件を緩和した。先行き不透明感は金への逃避を促す。
スタンダードチャータード銀行の貴金属アナリスト、スキ・クーパー氏は「地政学リスクの上昇に、市場全体の不透明感とパンデミック以来となる未知のリスクが加わり、逃避先資産としての金への関心が再び高まっている」とリポートで指摘。「しかし目先のトーンは、ドル相場や米利下げ期待といったマクロ要素に左右される可能性が高い」と述べた。
金相場は年初から28%余り上昇してきた。中央銀行による買い入れと、米金融政策の緩和転換、欧州と中東での地政学的緊張が価格を押し上げた。ゴールドマン・サックス・グループは2025年の年末までにオンス当たり3000ドルに到達すると予想。UBSグループは2900ドルを見込んでいる。
金スポット価格はニューヨーク時間午後2時23分現在、前日比18.59ドル(0.7%)上昇の1オンス=2650.67ドル。ニューヨーク商品取引所の金先物12月限は20.70ドル(0.8%)高い2651.70ドルで引けた。
原題:
Stock Traders Play Defense Before Nvidia Earnings: Markets Wrap
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Dollar Snaps Losing Streak as Yen Weakness Resumes: Inside G-10
Oil Dips as Traders Weigh War Risks Against US Stockpile Gains
Gold Gains as Traders Flock to Haven as Ukraine Fires Missile(抜粋)