フランスの極右政党・国民連合(RN)を実質的に率いるマリーヌ・ルペン氏はバルニエ首相に対し、週明けの12月2日までに予算要求に応じるよう求めた。その回答に従い、内閣不信任に動くかを決定するという。同国の分裂した議会では、ルペン氏とRNが重要なキャスティングボードを握る。

  バルニエ内閣は600億ユーロ(約9兆5200億円)規模の収支改善策を盛り込んだ2025年度予算案を計画している。だがRNは、薬剤費払い戻しの減額中止、大半の個人に影響する新税・増税への猶予期間設定、来年1月からの年金の物価スライド制導入、より厳しい移民・犯罪抑制策などを主張し、首相に予算案の修正を迫っている。

  首相は28日、RNの要求の一つだった電力消費税の引き上げ見送りに同意し、大きな譲歩を示した。予算案の社会保障部分については12月2日にも議会を通過させる必要があるが、左派の野党議員らはこの予算案が議会に諮られれば、内閣不信任決議案を提出すると脅している。RNが不信任の賛成に回れば、バルニエ内閣は同月4日までに崩壊する恐れがある。

  ルペン氏は予算案について「まだ難しい部分がある」と同国紙ルモンドに述べ、バルニエ首相に「残された時間は12月2日までだ」と言い放った。

  同氏はまた、首相が議会の採決を経ずに法案を成立させる憲法49条3項の特例条項を用いる場合、来週にも内閣不信任案に賛成票を投じる意向だと明らかにした。

  フランス政府のブレジョン報道官は「われわれは妥協を見いだしたいと考えている」と公共放送フランス2に対して発言。「RNは本当に予算案を成立させたいのか、それともフランスを大惨事へまっしぐらにしたいのか」と問いかけた。

原題:France’s Le Pen Boosts Budget Demands Ahead of Monday Deadline(抜粋)