イーロン・マスク氏率いる米宇宙開発企業スペースXは、インサイダー保有株の売却を協議中で、企業価値の評価は約3500億ドル(約52兆円)に高まる可能性がある。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

  実現すれば、ブルームバーグ・ニュースなどのメディアが先月、検討中と報じた2550億ドルの評価額を大幅に上回る。また、スペースXは世界のスタートアップの企業評価でトップの地位を固めることになる。同社の評価額は、今年初めのテンダーオファーで約2100億ドルとされていた。

  スペースXはコメント要請にすぐには応じなかった。

  関係者によると、スペースXとの現在の協議は継続中で、インサイダーの売り手や買い手の関心次第で取引の詳細が変更される可能性がある。公に話す権限がないとして関係者は匿名を条件に明かした。

  いわゆるテンダーオファーや売り出しは、従業員や初期の株主の一部が保有株を売却できる仕組みで、非公開企業のスペースXには外部投資家の資金をもたらし流動性を生み出す方法となる。

  スペースXの評価額が大幅に増加する可能性は、トランプ次期米大統領との関係を深めるマスク氏の企業帝国が大統領選以来受けている膨大な恩恵を浮き彫りにする。テスラの株価は11月5日以降42%上昇しており、マスク氏自身の資産は約3530億ドルにまで急増したことがブルームバーグ・ビリオネア指数に示されている。

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原題:SpaceX Weighs Tender Offer at Roughly $350 Billion Valuation (1)(抜粋)