米バイデン政権は、人工知能(AI)向け高帯域幅メモリー(HBM)および半導体製造装置の中国向け販売に新たな制限を加えると発表した。先端技術を確保しようとする中国の野望を封じ込める取り組みを強化するものだが、先の提案ほど多くの主要中国企業を制裁対象にするには至らなかった。
米商務省は、米国および外国企業が製造するHBMの販売に新たな制限を課した。韓国のSKハイニックスやサムスン電子、米マイクロン・テクノロジーに影響を与える可能性が高い。これらの部品はデータストレージを処理し、AIアプリケーションに不可欠。
また、米国企業が海外施設で製造した製品を含め、半導体製造装置の既存の規制も拡大したが、日本やオランダなどの主要同盟国には適用除外が認められた。これは米国と日本、オランダによる数カ月にわたった交渉を踏まえた措置。バイデン政権は交渉の過程で東京エレクトロンや蘭ASMLホールディングなどの企業に米国の規制を適用することを検討したが、最終的には追求しなかった。
ブルームバーグは先週、関係者の話として、バイデン政権が半導体装置およびAIメモリー半導体の中国向け販売規制を強化することを検討していると報道。ただ、以前想定されていたより厳しい措置には至らないと伝えていた。
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ラムリサーチやアプライド・マテリアルズ、KLAなど米半導体製造装置メーカーの株価は2日に上昇した。ASMLは、2024年の事業に「直接的な重大な影響」を及ぼすことはないとのコメントを発表した。
バイデン政権の目標は、長年にわたる貿易制限の強化を基に、中国の軍事力を高めかねない先端半導体やAIシステムの国内開発を遅らせることだ。米商務省の産業安全保障局(BIS)は声明で、米国は「人権弾圧や軍事近代化にとって重要な技術を生み出す中国の能力を制限する」と説明した。
中国は今回の新規制に強く反発し、世界的なサプライチェーンを深刻に脅かす経済的な抑圧だとして米国の動きを批判。中国商務省は2日の声明で「米国は国家安全保障の概念を拡大解釈し、輸出管理措置を悪用し、一方的ないじめを実行し続けている。中国は自国の権利と利益を断固として守るために必要な措置を講じる」との見解を示した。
新規制では、中国政府の指示によって活動しているとして、中国企業140社を新たにブラックリストに追加した。中国の半導体自給率向上に不可欠なチップ製造装置を製造する企業に照準を定めており、企業秘密を盗んだとASMLが非難した中国の東方晶源も含まれている。
また、深圳市新凱来技術(SiCarrier)や芯恩(青島)集成電路など、華為技術(ファーウェイ)の少数のサプライヤーに影響する。
ファーウェイのサプライヤーに対する制裁措置は、ラムやアプライド・マテリアルズ、KLAなどの製造装置メーカーによるロビー活動の主要な焦点だった。
特定の企業制裁のほかに同日発表された規制には、24種類の製造装置および3種類のソフトウエアツールの中国への販売制限もある。米国の技術を少しでも使用している外国製品に対して制限措置の導入を可能とする外国直接産品ルール(FDPR)が活用される。
しかし、特定の国々(特に日本とオランダ)については、FDPRの機器規則の適用除外が認められる。政府高官によると、同等の規制を課すことができる国々に道筋をつくることが狙い。レモンド商務長官は記者会見で、「私たちは、可能な限り包括的で効果的な規制を実施するために、同盟国にも協力してもらう必要がある」と述べた。
新たな規制はデータ処理に不可欠なAIの部品であるHBMの販売を制限するもので、既存の規制に加え、デバイスの頭脳として機能する先進的な論理チップにも影響が及ぶ。
政府高官によると、半導体に関する規則はHBM2とより先進的な半導体に適用され、FDPRを活用し米国企業と外国企業の両方を管理する。
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高官によると、この規則には例外があり、西側諸国の企業が中国でHBM2をパッケージ化することは認められる。この例外は技術が中国企業に流用されるリスクが低いパッケージ化にのみ適用される。
レモンド商務長官は声明で「今回の措置は、同盟国およびパートナーと協調しながら、われわれの国家安全保障へのリスクとなる中国による先端技術の国産化能力を弱めるという、バイデン-ハリス政権の的を絞ったアプローチの集大成だ」と指摘した。
原題:US Tightens Curbs on China’s Access to AI Memory, Chip Tools (2)(抜粋)