【ソウル=仲川高志】韓国の保守系与党「国民の力」の 韓東勲 代表は8日、 韓悳洙 首相とソウルの党本部で会談し、 尹錫悦 大統領に代わり、与党と首相が今後の政権運営を担う考えで一致した。
試練続く
尹氏が7日の談話で、任期や政局安定策を「党に一任する」と明言したことを受けた大統領職務代行案だ。野党は違憲と非難しているほか、与党からも「党の決定を経ていない」との声が上がっている。
野党が目指す大統領 弾劾 を一致団結して退けられるのか今後も試練が続きそうだ。
韓代表と韓首相は会談後、共同で記者会見し、尹大統領が今後、「外交を含む国政に関与しない」とする談話を発表した。韓代表は韓首相と週1回以上会合を持ち、経済、国防などの懸案について協議するという。
MBCテレビは8日、韓代表は尹大統領の6か月以内の退陣を求めると報じた。
与党は7日に採決された弾劾訴追案を所属議員108人の大半が退席し、廃案に追い込んだことで世論の批判を浴びている。次期大統領を狙う韓代表には、尹氏の国政からの排除をアピールし、難局を乗り切る狙いがある。
党内に溝
しかし、韓東勲代表は、党が正式決定した弾劾訴追案の否決方針に背く発言を翌朝行ったのに続き、今回発表した大統領職務代行案も独断専行の色彩が濃い。
尹大統領に近い40人前後の国会議員との溝は、日増しに深まっている。尹相現 議員は8日、「大統領の職務排除、秩序ある早期退陣などについては党内議論が必要だ」とSNSに書き込んだ。
秋慶鎬 院内代表は7日夜、弾劾訴追案が提出された責任を取って院内代表を辞任する考えを表明し、院内の指導体制も揺らいでいる。
「国民の力」は9日、議員総会で、尹大統領退陣の具体的な時期と方法などを巡って議論したが、結論が出なかった。
野党非難
最大野党「共に民主党」は、韓氏の大統領職務代行案は、同党の李在明 代表の公職選挙法違反罪が確定して政治生命が失われるのを待つための時間稼ぎと見抜いている。
「共に民主党」の金民錫最高委員は8日の記者会見で「違憲的で無政府的な発想だ」と指摘。李代表も「(戒厳令に続く)第2次内乱行為だ」と非難した。韓悳洙首相の弾劾も検討している。
野党は、尹大統領に対する弾劾訴追案を14日以降、可決するまで毎週、採決にかけながら、与党が分裂して造反議員が増えるのを待つ持久戦を展開する構えだ。