Vinicius Andrade、Ezra Fieser
- 過去最多54カ国が歳入の10%以上を利払いに充当-国連
- 昨年デフォルト件数はゼロ、だが新興国からは資金流出の動きも
新興市場国はすでに波乱の展開が予想される2025年に、膨れ上がる利払い負担に対処しなければならない。債務規模は過去10年で倍以上に増え、29兆ドル(約4460兆円)に達した。
国連の発表によると、過去最多の54カ国が歳入の10%以上を利払いに充てている。パキスタンやナイジェリアなど、利払いだけで歳入の30%余りを費やしている国もある。
利払い総額は昨年、対外債務と国内債務を合わせて約8500億ドルに達した。これに伴い、各国は病院や道路、学校などへの国内支出を利払いに振り向けざるを得ない状況に追い込まれている。一方、新興市場の投資家にとってもリスクが高まっている。
S&Pグローバル・レーティングのソブリン格付けグローバル責任者、ロベルト・シフォンアレバロ氏はインタビューで「金利負担は膨大だ」とし、「何とか耐えているが、非常に大きなリスクがある」と述べた。
来年は第2次トランプ米政権による米金利・ドル見通しへの影響に加え、地政学的な緊張の高まりや中国経済を巡る懸念により、不透明感が強まっている。それだけに新興市場にとって利払い負担の増大はさらなる逆風だ。
世界の投資家はすでに資金を引き揚げている。モルガン・スタンレーがまとめたEPFRのデータによると、ハードカレンシー建て新興市場債券に特化した投資商品からは年初来で140億ドル余りが流出した。
EM Governments Spend More to Keep Up With Debt Payments
もっとも、2024年に新興国によるデフォルト(債務不履行)は1件もなかった。RBCブルーベイ・アセット・マネジメントやモルガン・スタンレーなどの新興市場ウォッチャーは、国際通貨基金(IMF)など国際機関による介入などを理由に、来年もデフォルトはないと予想している。
原題:Massive Interest Burden Haunts $29 Trillion Emerging Debt Pile(抜粋)