Rita Nazareth

  • 失業保険統計は強弱まちまち、欧州市場休場で取引低調
  • 米国債は持ち直す、7年債入札が好調で-原油は小幅安
Stocks churn amid slow Wall Street trading after the holiday.
Stocks churn amid slow Wall Street trading after the holiday. Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

26日の外国為替市場ではドルが上昇。ドル指数は年間で2015年以来の大幅高になる勢い。円は下落し、対ドルでは一時1ドル=158円08銭と7月17日以来の安値を付けた。植田和男日銀総裁による25日の講演が追加利上げに慎重と改めて受け止められ、円売り・ドル買いが膨らんだ。米失業保険統計も材料視された。

関連記事:植田日銀総裁、米次期政権の政策や春闘注視-利上げ巡る姿勢変わらず

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1302.631.280.10%
ドル/円¥158.01¥0.680.43%
ユーロ/ドル$1.0421$0.00140.13%
  米東部時間16時31分

  ふくおかフィナンシャルグループの佐々木融チーフストラテジストはリポートで、米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げを既に終えたとし、構造的要因によって円は2025年末までに対ドル170円まで下落する可能性があると予想した。

株式

  米株式相場はほぼ変わらず。クリスマス後の閑散な取引となる中、総じて小動きとなった。失業保険統計は強弱まちまちの内容となり、金融政策の見通しを変えるには至らなかった。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数6037.59-2.45-0.04%
ダウ工業株30種平均43325.8028.770.07%
ナスダック総合指数20020.36-10.77-0.05%

  欧州の主要市場が休場だったため、S&P500種株価指数を構成する銘柄の出来高は過去1カ月の平均を大幅に下回った。

  失業保険の継続受給者数は予想を上回る増加となり、約3年ぶりの高水準となった。失業者が仕事を見つけるまでの期間が長期化していることがあらためて示唆された。一方、新規申請件数は12月21日までの週に21万9000件に減少した。

関連記事:米失業保険の継続受給者数、予想上回る増加-約3年ぶり高水準 (2)

  スレートストーン・ウェルスのケニー・ポルカリ氏は「経済指標は新年を迎えるまでは特に相場を動かすようなものにはならない」と予想。「クリスマスは過ぎたが、新年入りはこれからだ。商いは低調なままだろう」と述べた。

  BTIGのジョナサン・クリンスキー氏は、年末にかけて相場が上昇を続け、S&P500種株価指数は6100を上回り、最高値を更新するとの見通しを示した。しかし1月を前にボラティリティーが再び高まると述べた。「S&P500種が最高値を更新する場合、買いの裾野とモメンタムという面で大きな差異が生じるだろう。これは1月に入る中で、新たな警鐘だ」と指摘した。

  ほとんどの超大型株は下落したが、ウェドブッシュの強気なリポートを受けてアップルは堅調だった。ゲームストップは急伸。「ロアリング・キティ」の異名を持つ投資家キース・ギル氏のX(旧ツイッター)への投稿に反応した。

関連記事:ゲームストップ株急伸、「ロアリング・キティ」のX投稿に反応

米国債

  米国債市場では2ー10年債が小幅高になる一方、20ー30年債は小幅安。7年債入札(規模440億ドル)が好調となり、上昇していた利回りは前日終値水準付近に低下した。最高落札利回りは4.532%と、入札前取引の利回り4.553%を下回った。7年債の落札利回りとしては5月以来の高水準。今回の入札は利付国債としては今年最後となった。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.77%0.70.15%
米10年債利回り4.58%-0.8-0.17%
米2年債利回り4.33%-0.6-0.14%
  米東部時間16時32分

原油

  ニューヨーク原油先物相場はホリデーシーズンで薄商いとなる中で、小幅に下落。軟調な米雇用関連データや天然ガス先物の下げが手掛かりとなった。

  米天然ガス先物は26日に5%余り下落し、エネルギー相場全体の重しとなった。年末の気温が従来予報より高めに推移するとの見通しが予報で示され、暖房需要が当初の見込みより少なくなるとの見方が広がった。また米失業保険の継続受給者数も原油の重しとなった。このほか、流動性の低さが価格下落の動きを加速させた部分もある。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油の総取引高は年初来の低水準付近で推移している。

Oil Edges Lower in Thin Session | Volumes have been reduced due to a holiday in the US
WTI先物と北海ブレント先物出所:ICE、NYMEX

  原油は早い時間には上昇していた。前日に中国で発表された政策が好感された。中国は地方政府による特別債発行による投資対象を拡大するとともに、承認プロセスを簡素化する方針を明らかにした。また中国人民銀行(中央銀行)は、中期貸出制度(MLF)の1年物金利を2%に据え置いた

  24日には米石油協会(API)が、商業用原油在庫が先週320万バレル減少したと発表。これにより相場は下支えされる部分があった。

  CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は「WTIに関しては、新年に向けた勢いはあまり見られない」と指摘。「トレーダーらは次の材料を探す上で、トランプ氏が大統領に就任する1月に注目している。それまでは相場は不安定な動きが続く可能性が高い」と分析した。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物2月限は48セント(0.7%)安の1バレル=69.62ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント2月限は32セント(0.4%)下落し73.26ドルで引けた。

  金相場は上昇。ホリデーシーズンで薄商いとなる中、市場は米金融政策の見通しを意識しつつ、雇用に関する強弱まちまちなデータを消化する展開となった。

  12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合では、2025年に見込む利下げ回数が従来予想から減少。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、追加利下げを実施する上ではインフレ面でさらなる進展を目にする必要があると指摘した。

関連記事:FOMC、金利引き下げ-追加利下げにはインフレ進展必要と議長 (4)

  金は年初以降に28%近く上昇しており、このままいけば年間では2010年以来の高いパフォーマンスとなる。米国の金融緩和や安全資産としての需要、世界の中央銀行による持続的な買い入れが支援材料だ。ただ米大統領選でのドナルド・トランプ氏勝利を受けてドルが値上がりしたことから、11月初旬以降は金上昇の勢いが失速している。

  金スポット価格はニューヨーク時間午後2時43分現在、18.92ドル(0.7%)高の1オンス=2635.79ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は、18.40ドル(0.7%)上昇の2653.90ドルで引けた。

原題:Stock Rally Stalls in Sleepy Wall Street Session: Markets Wrap(抜粋)

Treasury 7-Year Auction Draws Strong Demand, Spurring Recovery(抜粋)

Dollar Rises; Yen Falls as BOJ Avoids Hike Signals: Inside G-10(抜粋)

Oil Dips in Thin Trading on Soft US Data, Natural Gas Outlook(抜粋)

Gold Advances in Thin Trade as Investors Mull Fed Rate Outlook(抜粋)