Mackenzie Hawkins、Jenny Leonard

  • 米安全保障や人権基準などに合意なら、企業は国別の制限回避が可能
  • 日本など同盟国も対象国への輸出に承認必要、1年以内に発効へ

米ホワイトハウスは、エヌビディアなどが開発した人工知能(AI)向け先進半導体の販売について包括的な新規制を発表した。この規制を施行するのかどうか、するとすればどのように施行するのかは、トランプ次期政権に委ねられる。

  米当局者が12日述べたところによると、新たな規制は1年以内に発効する予定で、大半の国に対し販売可能な演算能力の上限を定める。対象国の企業は、安全保障や人権基準などに合意することにより、国別の制限を回避できるという。

  また、企業からの意見公募期間を120日と異例の長期に設定され、業界や他国との協議を経て規制の習熟や変更を行う時間的な余裕をトランプ政権に与えていると、発表を前にレモンド商務長官が記者団に説明した。この規制を巡っては、既に業界から激しい反対の声が上がっている。

  レモンド長官は、国家安全保障の保護と半導体の取引継続容認との間でバイデン政権はバランスをとろうとしたと強調。サプライチェーンの活動やゲーム用半導体は新規制の対象にはならないと、同長官は述べた。大学や研究機関向けなど集合演算能力の低い半導体の販売も、ライセンス取得を不要にするという。

  「極めて難しい問題で、完璧な規制はない」と長官は述べ、「国家安全保障リスクの管理には、この全てを考慮した微妙なトレードオフが必要になる」と続けた。

  米国を懸念させているのは、中国の飛躍的な技術的進歩だ。国および企業単位でデータセンター向けAI半導体の販売を抑制しようとする動きは、AI開発を友好国に集中させ、全世界の企業活動を米国基準に準拠させる目的があると、ブルームバーグはこれまでに報じた。バイデン政権はトランプ氏の政権移行チームと今回の新規制について協議しており、輸出規制はほぼ民主・共和両党にとって安全保障政策の優先課題となっていると、米当局者は述べた。

  米国製半導体を輸入する側にとっても同様の規制が課せられ、日本を含む約20の同盟国が制限対象の第3国に輸出しようとする場合、米政府の基準に対する同意と許可が必要になる。

  許可を取得するためには、演算能力の半分以上を米国にとって友好的な地域に維持しなければならない。米国が兵器禁輸措置を講じている中国やロシア、マカオなど20数カ国・地域のデータセンター向け半導体の輸出は認められない。米国はこれらの国・地域へのAI半導体輸出を既に事実上禁止している。

原題:White House Unveils New Curbs on Exporting Nvidia AI Chips(抜粋)