Joe Deaux
- クリフスがUSスチールの大半取得し、ニューコアにミニミル売却
- 日鉄のUSスチール買収、バイデン氏が中止命令-両社は提訴
米鉄鋼会社クリーブランド・クリフスは、同業ニューコアと協力してUSスチールを買収することを検討している。事情に詳しい関係者が明らかにした。クリフスのローレンソ・ゴンカルベス最高経営責任者(CEO)はその後の記者会見で、USスチールへの関心を認めた。
関係者によると、クリーブランド・クリフスがUSスチールの大半を取得し、ニューコアが「ミニミル」と呼ばれる資産を取得する内容を検討中だという。非公開の情報だとして同関係者が匿名を条件に明らかにした。最終決定は下されておらず、両社はまだこの取引を断念する可能性もあるという。
ニューコアの広報担当者はコメントを控えた。USスチールの広報担当者は現時点でコメントの要請に応じていない。
クリフスのゴンカルベスCEOはペンシルベニア州で行った広範囲にわたる記者会見の中で、日鉄による取引が破棄された時点で「われわれは行動を起こす」と発言。クリフスの計画にはUSスチールの名称採用やピッツバーグへの本社移転が含まれると話した。
同CEOはさらに、「私は買収したい。計画がある」と述べ、米企業だけから成る解決策を用意していると語ったが、取引条件については言及を控えた。
これに先立ち、米経済専門局CNBCはクリフスがUSスチール全体を現金で買収し、その後にUSスチール傘下のビッグリバー・スチールをニューコアに売却する案が浮上していると伝えていた。買収提案価格は1株当たり30ドル台後半になる見通しだという。
日鉄の提示した買収額は1株55ドルだった。NBCの報道を受けてUSスチールの株価は一時10%余り急伸し、37.75ドルを付ける場面もあった。
クリーブランド・クリフスは2023年、USスチールの売却入札に参加したが、日鉄に競り負けていた経緯がある。
バイデン米大統領は3日、外国資本による米企業所有と国家安全保障への懸念から、日鉄によるUSスチール買収計画を正式に阻止すると発表した。買収計画については、審査を担当していた対米外国投資委員会(CFIUS)では結論に至らず、バイデン氏に判断を委ねていた。
日鉄とUSスチールは先週、買収計画を維持するための最後の手段として、2件の訴訟を共同で提起。バイデン氏が自らの政治的目的を達成するために全米鉄鋼労働組合(USW)の支持を得て、法の支配を無視したと主張。バイデン氏が不適切な影響力を行使したことにより、CFIUSは誠実な審査を実施しなかったと断じ、大統領の買収阻止命令とCFIUS審査の無効などを米裁判所に申し立てた。
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原題:Cleveland-Cliffs and Nucor Said to Mull Joint US Steel Bid (1) (抜粋)