▽トランプ氏、就任初日に関税導入せず 通商関係の検証指示へ=当局者<ロイター日本語版>025年1月21日午前 7:06 GMT+9
By David Lawder, Andrea Shalal, Steve Holland, David Ljunggren
[20日 ロイター] – トランプ大統領は就任初日の20日に包括的な通商に関する覚書に署名する意向だが、同日中の新たな関税導入は見送る。新政権当局者が明らかにした。
当局者によると、トランプ氏は覚書で中国、カナダ、メキシコとの通商関係の検証を連邦機関に指示する。
トランプ氏は就任演説で具体的な関税計画には触れなかったものの、外国からの関税などを徴収する新機関「外国歳入庁」の設立を改めて表明。「米国の労働者を守るため、通商システムの改革に直ちに着手する」とし、「他の国を豊かにするために米国民に課税するのではなく、米国民を豊かにするために外国に関税と税金を課す」と述べた。また、自身の政策により米国は「再び製造業国家になる」とした。
当局者によると、トランプ氏は米国の貿易赤字の調査・是正や、他国の不当な貿易・通貨政策への対処を政府機関に指示するが、新たな関税は発表しない。中国による2020年米中通商合意の順守状況に加え、USMCA(米・メキシコ・カナダ協定)の状況を評価するよう指示するという。
カナダのルブラン財務相は「米国が特に貿易についてカナダとの関係を綿密に検証することを決定すれば、非常に好ましいことだ」と述べた。
<市場は安堵>
トランプ氏が就任初日に関税を導入しないと伝わったことで、世界的に株価が上昇したほか、ドルは主要通貨に対し下落。特にユーロ、カナダドル、メキシコペソ、人民元が対ドルで大きく上昇した。
一部の業界団体や通商法専門家らは、トランプ氏が国家経済緊急事態を宣言して直ちに関税を発動すると予想していた。
だが覚書は、安全保障を理由に輸入を制限できる「通商拡大法232条」や、不公正な貿易慣行に対処する「通商法301条」などに基づく調査を含むより体系的なアプローチになることを示唆している。
戦略国際問題研究所の通商専門家ウィリアム・ラインシュ氏は「トランプ氏は即時関税を課せば金融市場に大きな打撃を与えるという声に耳を傾けたようだ」と述べた。
ただ、アナリストらはトランプ氏が政権初期に世界的な関税導入を進めると引き続き予想している。
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