Rita Nazareth

  • AI投資への期待でオラクル続伸、決算受けネットフリックスも高い
  • 円は対ドルで下落、一時0.8%安の1ドル=156円71銭
米株式相場は続伸
米株式相場は続伸 Source: Bloomberg

22日の米株式相場は続伸。人工知能(AI)への期待感から上昇した大型ハイテク株が相場全体をけん引し、好決算銘柄も買いを集めた。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数6086.3737.130.61%
ダウ工業株30種平均44156.73130.920.30%
ナスダック総合指数20009.34252.561.28%

  ハイテク7社で構成する「マグニフィセント・セブン」に連動する指数は1.3%上昇した。前日引け後に決算を発表した 動画配信サービスのネットフリックスは9.7%高。同社の2024年10-12月(第4四半期)は会員数が四半期ベースで過去最大の伸びとなった。オラクルは7%近い上昇。トランプ大統領が前日発表した同社とソフトバンクグループ、オープンAIによる人工知能(AI)インフラへの新たな大型投資計画が材料視された。日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)も10-12月決算が好感されて上昇。

Stocks Rise As Jitters Over Tariff Threat Subside
米株式相場は続伸Source: Bloomberg

  ブラックロック・インベストメント・インスティテュートのストラテジスト、ジャン・ボアバン、ウェイ・リ両氏は「われわれリスクオンを維持しており、企業業績が株式相場を後押しするとみている。金利上昇の環境下でもファンダメンタルズが堅調である限り、株価はさらに上昇し続けると考えている」とした。

  一方、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、米株式市場に過熱の兆しがあると指摘。ダイモン氏は世界経済フォーラム(WEF)年次総会が開かれているダボスでCNBCのインタビューに応じ、「資産価格はややインフレしている」と述べた。

関連記事:米株式相場は「ややインフレ」、JPモルガンのダイモン氏が指摘

  ミラー・タバクのマット・メイリー氏は「トランプ大統領の2期目、市場は好スタートを切っている」と指摘。「決算シーズンが良好なものとなれば、息の長いラリーになる可能性がある。しかし、さらなる大幅上昇を後押しするには、単に『予想を上回る』だけでは不十分だ」と語った。  

S&P 500 Is on the Brink of Record High

  S&P500種は2023年に年間で24%、24年に23%上昇しており、25年に再び同様のパフォーマンスを達成できるかどうかについては一部で懐疑的な見方もある。

  クリアブリッジ・インベストメンツのジェフ・シュルツ氏は、S&P500種が2年連続で20%超の年間上昇率を記録したからと言って、調整局面を迎えるとは限らないことは歴史が証明していると指摘。過去数年は利益成長が一部の銘柄に集中していたが、今年は成長の裾野が拡大し、中小型株や出遅れていたバリュー株の相対パフォーマンスの改善につながるとの見方を示した。

  「新政権の今後の動向を注視していく一方で、投資家は米株にとって依然良好なファンダメンタルズを見落としてはならない」。UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのソリタ・マルチェリ氏はこう語った上で、テクノロジーや公益、金融の各セクターを引き続き選好していく姿勢を示した。

国債

  米国債相場は下落(利回りは上昇)。ただ、この日行われた20年債入札が堅調な需要だったのを受け、長期債は午後に下げを埋める展開となった。10年債利回りは約3bp上昇。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.83%1.60.34%
米10年債利回り4.61%3.70.80%
米2年債利回り4.30%2.80.65%
  米東部時間16時42分

  10年債利回りは先週、根強いインフレを受けて米金融当局が利下げを見送るとの懸念から2023年11月以来の高水準に上昇していた。それ以降は低下基調にある。

米10年債利回りの推移

為替

  外国為替市場ではドルが小幅高。主要10通貨の中ではカナダ・ドルなどの下げが目立つ。トランプ米政権によるカナダでの関税賦課の見通しがカナダ・ドルの圧迫要因となっている。円も軟調。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1303.901.290.10%
ドル/円¥156.54¥1.020.66%
ユーロ/ドル$1.0410-$0.0018-0.17%
  米東部時間16時46分

  ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツの共同最高投資責任者(CIO)、カレン・カーニオルタンブール氏は、ドルには「さらなる上昇の余地がある」と指摘。世界経済フォーラム(WEF)年次総会が開かれているダボスでブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じた同氏は「経済は構造的に強く、トランプ大統領の政策はドルに強気な内容となる可能性が非常に高い」と語った。また円について、2番目に選好する通貨だと述べた。

関連記事:ドルに「さらなる上昇の余地」-ブリッジウォーター共同CIO

  ドルはニューヨーク時間朝方の取引では下げていたが、インサイト・インベストメントは、今後数カ月内に米国が新たな関税を発動する見通しを踏まえ、ドルの下値余地は限定的だと分析。同社で為替ソリューション部門ヘッドを務めるフランチェスカ・フォルナサリ氏は「われわれは安堵のため息をつくような状況というよりも、嵐の前の静けさの中にいる」と話した。

  円は対ドルで下落。一時0.8%安の1ドル=156円71銭を付けた。市場の注目は、日本銀行が23、24両日に行う金融政策決定会合に向いている。市場の1月利上げ予想は9割台となっている。

  TDセキュリティーズは、日銀が慎重なトーンで25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを実施した場合、円は対ドルで0.3%上昇する可能性があると指摘。積極的な利上げを実施し、複数回の利上げを示唆した場合には、円は1.5%上昇するとの見方を示した。一方で、トランプ大統領の関税政策への懸念を理由に「タカ派的な据え置き」を決定した場合、円は対ドルで1%下落する可能性があるとしている。

関連記事:円は対ドルで一段の上値余地、想定される今週の日銀利上げ後も-TD

ドル・円相場の推移

原油

  ニューヨーク原油先物相場は4日続落。トランプ大統領が中国と欧州連合(EU)への関税を課す可能性を示唆したため、売りが優勢となった。米国による対ロシア制裁措置の影響も引き続き意識された。

  ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は前日終値を挟んでもみ合った後、1バレル=76ドルをやや下回る水準で終えた。原油の最近の下落基調は、消費と成長にリスクをもたらす世界貿易摩擦の新たな兆候が一因となっている。

  カナダ産原油に関税が課される可能性があるため、関税を回避しようと既にカナダから米国に大量の原油が輸出されている。それでも、カナダ産原油に関税が課されると、米国でガソリン小売価格が上昇すると、ゴールドマン・サックス・グループは昨年指摘した。

関連記事:ゴールドマン、トランプ氏が対カナダ関税発動なら米国に重大な打撃

Technical Level Serves as Floor for Losses | WTI's 200-day moving average cushions crude's recent run of losses

  ロシア産原油に対する過去最大規模の制裁措置もなお強い影響を与えている。国営精製業者インディアン・オイルは、この措置により最大で日量200万バレルの供給不足が生じると明らかにしている。代替供給源を求める動きが活発化する中、ドバイ原油の価格は他の油種に比べて堅調に推移している。トランプ大統領はロシアのプーチン大統領がウクライナ問題について協議の席に着かないなら、対ロシア制裁を強化する可能性が高いと述べた。

  原油価格はロシアへの制裁と北半球の厳冬により、今年に入ってからも高値を維持している。22日にはテキサス州からノースカロライナ州にかけて厳しい寒さをもたらし、地域のエネルギー市場を混乱させた。

  最近の下落局面は200日移動平均によって下値が限定的になっている。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物2月限は、前日比45セント(0.6%)安い1バレル=75.44ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント3月限は29セント安の79ドルちょうどで引けた。

  金相場は続伸。スポット価格は日中取引として昨年10月末以来の高値を付けた。世界経済の見通しが意識される中、買いが続いた。トランプ米大統領は貿易および移民政策に関する見解を引き続き示した。

  トランプ氏はメキシコとカナダからの輸入品に最大25%の関税を2月1日までに賦課することを計画していると述べたほか、中国と欧州連合(EU)に対する関税引き上げも検討していると表明した。トランプ政権の関税および減税政策の影響に注目が集まっており、これらの政策がインフレを再燃させ、金融緩和の維持を制限する可能性があるとエコノミストはみている。通常、利子を生まない金にとって、借り入れコストの上昇は逆風となる。

Gold Climbs on Trade War Fears | Traders eye further clues to assess Fed's rate path

  金は昨年、米利下げや地政学的な緊張、中央銀行の買いにより、最高値を複数回にわたり更新した。トランプ氏の移民政策に対する懸念や、米国の対外関係悪化の可能性を背景に、安全資産としての需要がさらに高まり、金相場は上値を追う可能性がある。

  スポット相場はニューヨーク時間午後2時3分現在、前日比12.69ドル(0.5%)高の1オンス=2757.50ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は11.70ドル(0.4%)高の2770.90ドルで引けた。

原題:S&P 500 Hits Record High as AI Powers Tech Rally: Markets Wrap

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