Carmen Reinicke

  • エヌビディア株価は17%安、下落率は2020年3月以降で最大
  • 市場全体に株安波及、S&P500が1.5%安-ナスダック100も3%安
The DeepSeek logo arranged on a smartphone in Hong Kong, China, on Monday, Jan. 27, 2025. 
The DeepSeek logo arranged on a smartphone in Hong Kong, China, on Monday, Jan. 27, 2025.  Photographer: Lam Yik/Bloomberg

27日の米株式市場で、人工知能(AI)向け半導体大手、米エヌビディアの株価が急落した。中国のAI新興企業DeepSeek(ディープシーク)を巡り投資家の懸念が広がっている。

  エヌビディアの株価は17%安と、下落率は2020年3月以降で最大。時価総額は5890億ドル(約91兆円)減と、米企業1銘柄の1日当たりの減少額としては過去最大を記録した。これまでは昨年9月の同銘柄の約2790億ドル減が最大で、当時は株価が9%下落した。

関連記事:米国株下落、エヌビディアが過去最大の時価総額消失-雇用統計を警戒

Biggest Single-Day Market Cap Losses

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Source: Bloomberg

  主要株価指数におけるエヌビディアのウエートが大きいため、同社株の下落は市場全体に波及。27日にはS&P500種株価指数が1.5%、ナスダック100株価指数が約3%それぞれ下落した。

  ディープシークが低コストのAIモデルを披露したことを受け、米大手企業がAI開発に過度に資金を投じているとの懸念が再燃。エヌビディアはテクノロジー株の幅広い下げを主導した。

  先週リリースされたディープシークの最新のAIモデルは、オープンAIやメタ・プラットフォームズのモデルと競合すると幅広く受け止められており、現時点ではアップルのアプリストア「アップストア」ランキングでトップとなっている。

  ジェフリーズのアナリストは顧客向けリポートで「高性能の半導体と膨大な計算能力、それに伴うエネルギーに依存する現在のAIビジネスモデルの波乱要因となる可能性があるという懸念がたちどころに浮上した」とコメントした。

  エヌビディアはAI技術に使用される半導体を設計しているため、AI投資急増の最大の恩恵を受けている。こうした巨額の投資は今後も続くとみられるが、投資家は十分な投資収益を上げていない企業への投資に警戒感を強める恐れがある。

  米国は中国のAIにおける進展を阻止するために、中国への最先端の半導体技術の輸出を禁止しているほか、エヌビディアが開発したAI向け先進半導体の他国への販売を制限している。

  しかし、ディープシークのAIモデルは、中国のAIエンジニアが限られたリソースで効率性を高めることに重点を置き、輸出禁止を回避する方法を見つけたことを示唆している。

  エヌビディアは27日、ディープシークのAIモデルについて、米国の技術輸出規制に準拠した「AI技術の優れた進歩」だとの認識を示した。同時に、AIの「推論作業には膨大な数のエヌビディア製GPUと高性能ネットワークが必要だ」とした。

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原題:Nvidia’s $589 Billion DeepSeek Rout Is Largest in Market History(抜粋)