• 「ブラック・スワン」の著者が警告、メタとMSの決算に注目
  • 低金利時代に戻るとの期待禁物、中国AI戦略、コロンビア

マーケットで話題になったニュースをお届けします。一日を始めるにあたって押さえておきたい5本はこちら。

ほんの序章

27日のエヌビディア株急落について、ベストセラー「ブラック・スワン」の著者ナシーム・ニコラス・タレブ氏は、AI(人工知能)主導の株価上昇に盲目的に飛びついた投資家がこれから直面する事態の「ほんの序章に過ぎない」と警告した。中国のDeepSeek(ディープシーク)が高性能AIモデル開発に成功したことを受け、エヌビディアの時価総額は1日当たりの減少額としては米企業史上最大を記録。ブルームバーグのインタビューで同氏は、今後の下落はエヌビディアが記録した2、3倍の規模になる可能性があると語った。

決算に注目

メタ・プラットフォームズとマイクロソフトが29日に予定する決算発表では、AI投資のリターンに大きな注目が集まりそうだ。メタは24日、AI関連のプロジェクトに今年は最大650億ドルを投じる計画だと明らかにした。これは市場予想の513億ドルを上回る規模。マイクロソフトもデータセンターの建設で今年度に800億ドルを投じる計画を示している。DeepSeekのAIモデルは、メタの「ラマ」と同じくオープンソース。マイクロソフトはDeepSeekと競合するオープンAIに出資している。

期待は禁物

低金利時代に巨額の富を築いた投資家は、今後も同様の戦略でそうした優れたリターンが得られると期待してはいけない。こう指摘するのは、オークツリー・キャピタル・グループの共同創業者ハワード・マークス氏だ。AIブームを背景としたこのところの相場上昇における「市場の非合理性」について、同氏は見解を表明。米金融当局が数年前のゼロ金利時代への回帰を急いでいない状況で、割高な企業のファンダメンタルズを過大評価することに警鐘を鳴らした。

中国AI戦略

DeepSeekが発表した高性能AIモデルは、中国の台頭を遅らせることを狙った米国の輸出規制の限界を露呈した。同社が使用した半導体の詳細や、AIモデルの開発をさらに進めるのに十分な半導体が手元にあるかなど不明な点は多い。しかし今回の成功で、中国側にいくつか重要な優位性があることが浮き彫りになった。清華大学国家戦略研究院の研究員、劉旭氏は「中国はIT人材の数と人件費の両面で明らかに優位性がある。中国にとって最大の資源は、世界で最も人口の多い国の一つであり、巨大な製造拠点かつ巨大な需要がある点だ」と述べた。

食い違う主張

コロンビアのペトロ大統領は米国への移民がコロンビア空軍機で帰国を始めたと明らかにし、「同胞達は手錠をかけられることなく、米国から自由で尊厳を維持した状態で帰国している」と明らかにした。関税賦課を脅してコロンビアの抵抗を封じ込めたトランプ大統領の勝利宣言と食い違う。一連の展開を見て他国は米国以外の貿易相手国や決済システムへの多様化を決定する可能性がある。テネオのニコラス・ワトソン氏は「米国による『弱い者いじめ』という認識が広がれば、ペトロ氏はそれに最初に立ち向かったリーダーと見られるようになるかもしれない」と述べた。

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