Antonia Mufarech、Madison Muller

  • 「人類への犯罪」だったワクチン、「医療で極めて重要」と証言へ
  • 医師1万5000人が反対で署名、ケネディ元駐日大使も承認否決を訴え

トランプ米大統領が厚生長官に指名したロバート・ケネディ・ジュニア氏は、今週の上院公聴会で自分は「ワクチン反対派でも製薬産業のアンチでもない」と証言する。

  ブルームバーグニュースが入手した証言原稿によると、ケネディ氏は上院厚生教育労働年金委員会で「私はどちらにも反対ではない。安全に賛成なだけだ」と表明する。「私の子どもたちはみな、ワクチン接種を受けた。ワクチンは医療において極めて重要な役割を果たすと考える」としている。

  厚生長官候補になる前、同氏は新型コロナウイルスのワクチンを「人類に対する犯罪」と非難していた。小児医療に関する同氏の組織はワクチンと自閉症の関連性を指摘し、ワクチンはこれまで一度も適切にテストされていないと主張している。

  証言原稿の中でケネディ氏は「私はこれまでの活動において、現状を揺るがすような問いかけで不快な思いをさせることがよくあった。それを謝罪するつもりはない。米国には誠実に対応すべき医療健康の問題が山積している」としている。

  上院での承認手続きを前にして、同氏は自分がワクチン推進派であり、人工中絶反対派だと議員らにアピールする意向だ。昨年5月の時点で中絶については、女性らが自分で判断すると信頼していると述べ、胎児が子宮外で生存できない間は中絶を規制するべきではないとしていた。

Trump Cabinet Nominees Meet With Lawmakers On Capitol Hill
米議事堂での会合を終えたロバート・ケネディ・ジュニア氏(1月8日)Photographer: Valerie Plesch/Bloomberg

  厚生長官として正式な承認を受けるには、1月29日の上院財政委員会と翌日の上院厚生教育労働年金委員会で証言しなくてはならない。財政委員会を通過すれば、次は上院本会議での採決になる。上院は共和党が民主党を6議席上回る。

  上院にもケネディ氏の就任に反対する議員はいる。医師でもあるカシディ上院議員(ルイジアナ州)は、ケネディ氏のワクチン観は「間違っている」とFOXニュースで語った。

  マコネル前上院院内総務は「実証済みの治療法に対する国民の信頼を損なう行為は、無知なだけでなく危険でさえある」と批判。同氏は幼少時にポリオを患ったことがある。

  ケネディ氏は虫歯予防のフッ素を水道水から除去するべきだとも主張。リスクが指摘されている生の牛乳を飲むよう推奨している。米国の「食料システムは病んでいる」とし、メイク・アメリカ・ヘルシー・アゲイン(MAHA)のスローガンを唱える。

  同氏は新型コロナの治療として、専門家が否定しているイベルメクチンやヒドロキシクロロキンを推奨。銃乱射事件が増加したのは、プロザックなどの抗うつ薬の使用が原因だと主張する。

  これらの理由から、医師と医療従事者で構成する医療保護委員会は同氏の就任に反対する医師の署名を1万5000人分集めた。

  暗殺されたジョン・F・ケネディ大統領のいとこで、駐日米大使を務めたキャロライン・ケネディ氏は28日、インスタグラムへの投稿でロバート・ケネディ・ジュニア氏の承認に反対するよう上院議員らに呼び掛けた。

  同氏の弟や従兄弟が「同氏と同じ薬物中毒の道をたどった」のをこの目で見てきたとし、「今のロバートは注目と権力の中毒になっている」とキャロライン氏は述べた。

原題:RFK Jr. Says He’s Not Anti-Vaccine Ahead of Senate Hearings (2)(抜粋)