Daniel Flatley、Todd Gillespie

  • 関税は「国ごとの一律適用」好ましい-関税で「公平性」創出を期待
  • カナダとメキシコ、関税免れる可能性も-国境対策「実行」次第

トランプ米大統領に次期商務長官候補に指名されたハワード・ラトニック氏は29日、上院商務委員会が開いた承認公聴会で証言。中国のスタートアップDeepSeek(ディープシーク)が米国からの輸出規制を迂回して人工知能(AI)モデルを開発したとの見方を示し、商務長官への就任が承認されれば「非常に強い」対応を取ると誓った。

  「エヌビディアのチップを大量に購入し、規制を迂回(うかい)するやり方を見つけ、ディープシークのモデルを推進した」とラトニック氏は発言。「これは終わらせなくてはならない。われわれと競争するのなら、そうすればよい。しかし米国のツールを使ってわれわれと競争することは停止せよ。従って私はこの点で非常に厳しく対応するつもりだ」と述べた。

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  マイクロソフトとオープンAIは、ディープシークと関連のあるグループがオープンAIの技術から出力されたデータを不正な方法で入手したかどうかを調査している。事情に詳しい関係者が明らかにした。ディープシークは今月、人間の推論方法を模倣できる新しいオープンソースAIモデル「R1」を発表した。これにより、オープンAIやグーグル、メタ・プラットフォームズなどの米企業が独占してきた市場に衝撃が走った。

  「この件が浮き彫りにしたのは、関税に裏打ちされていない輸出規制はもぐらたたきのようだという現状だ」とラトニック氏。「輸出規制を関税モデルで支援するやり方を見つけなくてはならない。ディープシークが完全に合法的に開発したとは信じない。そんなことはあり得ない」と話した。

一律関税

  これより先、ラトニック氏は公聴会でトランプ政権の関税は「国ごとに一律で」適用する方が好ましいと述べた。

  「関税の適用によって互恵性と公平性、尊重を創出することが可能だ」とラトニック氏は上院商務委員会の公聴会で証言した。

  商務省で「関税と貿易のアジェンダ」を率い米通商代表部(USTR)の責任を直接負う役割に、トランプ氏はラトニック氏を起用した。同氏は選挙運動中に多額の資金調達でトランプ氏を終始支え、政権移行チームの共同議長を務めた。

  トランプ大統領はかねて関税賦課の意向を示唆しながらも、まだ正式な実行に至っていない。しかし商務省と財務省、USTRに米国の通商関係と政策に関して20余りの調査研究を命じており、これが保護主義的措置の前兆と考えられている。

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カナダとメキシコ

  ウォール街の投資銀行兼証券会社キャンター・フィッツジェラルドで最高経営責任者(CEO)を務めるラトニック氏は、米政府の要求を受け入れれば、一部の国は関税を免れる可能性もあると述べた。

  例えばトランプ氏はカナダとメキシコに25%の関税を2月1日発効で賦課すると示唆しているが、これは不法移民と合成麻薬フェンタニルの問題に結びつけた短期的な戦術であり、両国とも「実行」次第で回避が可能だとラトニック氏は述べた。

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  「米国最大の貿易相手国ならわれわれへの敬意を示して、国境を閉鎖しろ」とラトニック氏。「私が関知する限り、彼らは急いで行動しており、実行すれば関税は賦課されない。実行しなければ、関税は賦課される」と述べた。

Senate Commerce, Science, And Transportation Committee Holds Confirmation Hearing For Howard Lutnick
ハワード・ラトニック氏(1月29日)Photographer: Al Drago/Bloomberg

 

原題:Lutnick Pledges to Sell ‘Everything’ as Commerce Secretary(抜粋)

Lutnick Vows Stronger Curbs, Saying DeepSeek Isn’t ‘Above Board’(抜粋)

Lutnick Says Trump’s Tariffs Will Restore US Economy and Respect(抜粋)