Dina Bass、Shirin Ghaffary

  • オープンAIのAPIを使用して大量のデータを持ち出した可能性
  • ディープシークはオープンAIのデータを基に開発-米政府当局者

マイクロソフトとオープンAIは、中国の人工知能(AI)新興企業DeepSeek(ディープシーク)と関連のあるグループが、オープンAIの技術から出力されたデータを不正な方法で入手したかどうかを調査している。事情に詳しい関係者が明らかにした。

   関係者によると、マイクロソフトのセキュリティー研究者は昨年秋に、ディープシークと関連があるとみられる複数の人物がオープンAIのアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を使用して大量のデータを流出させているのを確認した。機密事項だとして関係者は匿名を条件に話した。

  ソフトウエア開発者はAPIを使用するためのライセンス料を支払うことで、オープンAIが独自に開発したAIモデルを自社のアプリケーションに統合することができる。

  関係者によると、オープンAIの技術パートナーであり最大の出資者でもあるマイクロソフトが、不審な活動についてオープンAIに通知した。そのような活動はオープンAIの利用規約に違反する恐れがあるが、取得できるデータの量に関するオープンAIの制限を取り除く目的で行われた可能性があると関係者は述べた。

  ディープシークは今月、人間の推論方法を模倣できる新しいオープンソースAIモデル「R1」を発表した。これにより、オープンAIやグーグル、メタ・プラットフォームズなどの米企業が独占してきた市場に衝撃が走った。

  ディープシークはR1が数学的タスクや一般知識など、AI業界のさまざまなベンチマークにおいて、米国の大手開発会社の製品と肩を並べるか、それを上回る性能を発揮するとしている。一方、その開発コストは、それらの企業の数分の一で済んだという。

  オープンAIはコメント要請に応じず、マイクロソフトはコメントを控えた。ディープシークと同社創業者のヘッジファンド、ハイフライヤー・クオント(幻方量化)は、電子メールによるコメント要請にすぐには応じなかった。

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  トランプ米政権で暗号資産とAIの責任者に起用されたデービッド・サックス氏は28日、ディープシークがオープンAIのモデルのアウトプットを参考に技術を開発した「相当な証拠」があると述べた。

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  オープンAIはサックス氏のコメントに対応した発表文で、ディープシークに関する部分には直接言及しなかった。オープンAIの広報担当者は「中国を拠点とする企業およびその他の企業が常に、米国のAIをリードしている企業のモデルを模倣しようとしていることをわれわれは知っている」とした上で「AIのトップ企業として知的財産を守るための対策に取り組んでいる。(そのために)米政府と緊密に協力することが極めて重要だと考えている」と説明した。

原題:Microsoft Probing If DeepSeek-Linked Group Obtained OpenAI Data(抜粋)